絵文字VS顔文字、あなたはどっち派?
絵文字進化論第2回
■顔文字は感情表現が豊か
〈連載「絵文字進化論」第2回〉
前回は、携帯電話やスマートフォンに搭載されている絵文字やその祖先にあたるといえる判じ絵についてとりあげました。今回はそうした「絵」だけではなく、文字や記号を組み合わせて表情をあらわす「顔文字」についても考えてみます。皆さんも (^o^)(スマイル/嬉しい)、 (‘◇’)ゞ(了解)といった、顔文字をSNSやメールでよく使うでしょう。
しかしこの顔文字。絵文字やスタンプに比べると「古臭い」と言われることもあります。その意味や使う頻度・使われ方はどのように違うのでしょうか?
まず絵文字と顔文字、それぞれの特徴をあらためて整理してみましょう。
絵文字の場合は、動物?、?や食べ物?、?、スポーツ?など、物やアクティビティを表す絵文字が多く、?、?、?といった感情を表すものは少数派です。Unicode11.0(2018年8月更新)に2789個の絵文字が登録されていますが、そのうち感情表現系の絵文字はハート類なども含めて120個くらいです。(出典:https://www.unicode.org/emoji/charts/emoji-counts.html)
それに対して、顔文字は感情表現がメインで、その種類が驚くほど豊か。例えば、顔文字投稿の人気サイト「顔文字屋」でなんと1万2千個もの顔文字が登録されているそう! 顔文字は、パソコンやスマホなどに入っている文字や記号を組み合わせて、誰でも新しいものを作ることができます。感情ひとつとっても、使う記号や線によって、バリエーションが生まれるのです。
例えば、「顔文字屋」では、「笑う」の顔文字は、(^ω^) (●´艸`)ムフフ など120個、「泣く」の顔文字は、(T_T) 。゚(゚´Д`゚)゚。 など193個が投稿されています。ちなみに登録されている顔文字の数が最も多い感情は何だと思いますか? 答えは、「照れる」です。(*/▽\*) ┏(*^р^*)┛ 壁]ω・)ニャ などなど、何と446種類(!)も登録されていました(2018年8月23日現在)。なんだか日本人の国民性があらわれているようで面白いですね。
それに対して欧米式の顔文字は、多く見積もっても全部で1000個ほど。日本とのギャップにショック(゜ロ゜;)!! 欧米の横向き顔文字と言えば、;-) :D :-( などがありますが、 日本の「照れる」に相当する顔文字はないようです。:-S という顔文字は存在しますが、「シャイ」より戸惑った/困ったという意味合いが強く、筆者自身はこの顔文字が実際に使われているところを見たことがありません。
日本の顔文字は、欧米式の顔文字、そして絵文字よりも感情表現が豊かだというのは1つの特徴ですね。
顔文字の全体的な特徴としては、数本の線だけで表情を表現するので、極めて抽象度が高いといえます。
それに対して絵文字はカラーで、口や目がリアルに描かれていますね。近年、さらに絵文字がどんどん具体化し、人の顔や姿の絵文字は、性別、肌・髪の毛の色、髪型などの選択が可能になりました。
今は、何とサンタクロースも、肌色を選択できるようになっています。これは、2015年にAppleやTwitterが「絵文字が白人中心で、人種多様性を反映していない」という批判の声を受けて、5色のスキントーンを追加したことが始まりです。その他にも、同性カップルに対応した絵文字や働く女性の絵文字など、現代社会の多様性、女性の人権を重視した絵文字も追加されて、絵文字の数を爆発的に増やしました。
次に、24人の日本語話者に絵文字・顔文字の好みと使い方を聞いてみました。