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英国人が指摘する、日本人サラリーマンの「木を見て森を見ず」体質

ここがヘンだよ、日本のサラリーマン⑤:外国の日系企業で働く、現地人サラリーマンの場合

自分のヘンなところというものは、誰かから指摘されて初めて気づくものである。日本人サラリーマン社会のど真ん中で生きる人の語りから始まり、日本で働く外国人サラリーマンや、外国で働く日本人サラリーマンらの視点を通して、日本のサラリーマンの「ここがヘンだよ」を解いていく。英国在住ジャーナリストの竹鼻智氏がつづる。シリーズ第5回で話を聞いたのは、外国の日系企業で働く、現地人サラリーマン。

「不気味なくらい、メールを一生懸命読む」

 英国で生まれ育った英国人のジョンソンさん(仮名。40代男性)。日本人サラリーマン社会との出会いは、3年前にITコンサルタントとしての仕事で、ロンドンにある日系企業のクライアント企業に常駐する、というプロジェクトへのアサインメント。プロジェクト完了後、一度は他のクライアント企業でのプロジェクトへと移っていったが、数カ月後にはその仕事を辞め、この日系企業に転職した。日本人サラリーマンと働くということには、基本的にポジティブな印象を持っている人物だ。

 そうは言っても、何かヘンな点というものも見えてくるだろう。「ここがヘンだよ、日本のサラリーマン」このテーマで質問をしてみたところ、やはり色々な点を挙げてくれた。

「不気味なくらい、メールを一生懸命読んでいる人が多いですね。イギリス企業やアメリカ企業では、私のように管理職にもなると、毎日大量のメールが送られてきます。大抵、重要そうなメールはしっかりと読んで、大した話しではないメールは時間があれば軽く見る程度です。ところが日本人の管理職は、本当に些細な話しにまで、やたらと関わろうとする人が多いと思います。私の個人的な経験に限った話しですが」

 良く言えば細部にまで目が届く、悪く言えば、細かい話しに無駄にうるさい。細部へのこだわりは、日本人サラリーマンの特性なのだろうか。IT業界でプロジェクトマネジメントに関わる仕事をしているジョンソンさんは、日本人サラリーマンのやり方に疑問を感じることもある。

 

「きっちりと計画を立てることに全力を尽くすのはいいですが、現実というものは計画通りにならないことも多いということを、もう少し許容して欲しいと思うことが多いです。計画に柔軟性がなく、予想外の事態に対応するのがあまり上手ではない、という印象です。

 それから、エクセルの使い方と、プレゼンテーション資料の作り方には閉口させられることがよくあります。これは私の同僚からもよく聞くのですが、エクセルの一つのセルや、パワーポイントの資料に過剰に文章を書き過ぎです。簡潔にコミュニケーションを纏める為の資料を過剰に複雑にし、ポイントが全く伝わらないというケースも見かけます」

 

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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