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柏木陽介の未来日記⑨ 1対0で勝ちきる

開幕戦勝利

 

 待ちに待ったJリーグが開幕した。今年はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)には出場できないから、Jリーグの優勝というのが大きな目標

 その大きな目標に向かってまずはスタートダッシュが大事だと思っている。だからこそ、ガンバ大阪との開幕戦ではアウェーとはいえ、勝利にこだわった。実際、みんなの気持ちもすごく気合いが入っていた。

 ガンバにしても去年J2で優勝したという勢いを持っている。そんなガンバがどんなサッカーをしてくるのか。未知数な部分が多かったからキックオフの笛が鳴るまでドキドキしていた。ただ、個人的には、ガンバとの相性は悪くない。Jリーグ初ゴールを決めた相手でもあるから。

 しかも、ガンバには尊敬するヤットさん(遠藤保仁)がいて、そのヤットさんを中心に高い技術を生かしたパスワークが魅力のチーム。僕たちと同じだ。

 両チームともに攻撃力を武器としているだけに、ゴールの奪い合いになると思っていただけど…、ふたを開けてみれば、なかなかシブい試合展開だった。

 

失点をなくして勝ち切る!

 

 ご存知の通り、結果は1対0。チームとしても、個人としても課題はまだまだあるけれど、「開幕戦勝利」という目標はクリアできたという点で満足している。

 

 チームとしては、攻撃面でまだまだ理想の形を作り出すことができていない。得点もセットプレーから奪ったもの。“流れ”のなかでのゴールが生まれなかったのは課題。

 

 ただ、守備は無失点で抑えることができた。それが大きな収穫だった。去年のチームは、リーグ最多の得点を奪ったにもかかわらず、失点の多さという課題を克服できなかった。その結果、優勝争いをしていた終盤戦では、ことごとく勝負のかかった試合を落とし、ACL出場圏内の3位からも脱落。守備の安定こそが、チームとしての安定感につながると痛感させられたシーズンだった。実際、サンフレッチェ広島にしてもリーグ最少失点だったからこそタイトルをつかんだと思うし、横浜F・マリノスだって中澤佑二さんを中心とした堅守がチームベースにあって、安定した結果へとつながっていた。

 その点を踏まえても、僕たちが優勝するためには、絶対に失点を減らさないといけない。そのことは僕自身もちろん、みんなも重々承知していた。チームの調子が悪くても1-0で勝ち切れるチームになることが、今シーズンの目標のひとつでもあるから、僕も必死に守備でハードワークした。後半は攻め込まれる時間帯が多くなったけれど、それでも失点しないで勝ち切れたということにチームとしての“変化”があった。もちろん満足はしていないけれど、“シブい”試合のなかでも手応えを感じている。

 

家族のようなチームが理想!

 

 1対0で勝ち切れるチームになる! そうなるためには、チームとしての一体感が不可欠。今年も開幕戦の1週間前に、音頭をとって選手全員で「決起集会」を開いた。

 

 この集会の目的は、みんなで集まることに尽きる。サッカーの話はこういうピッチを離れた場所ではまったくしない。開幕戦を控えた大事な時期に、「さあ、みんなで頑張ろう!」と心をひとつにする! チームとして集まることがなにより大事だと思っている。振り返ってみても、チームが集まったあとの試合はだいたい勝っている。今年も開幕戦はガンバにどうにか勝利することができたから、「決起集会をすれば勝てる」というジンクスはある。毎回集まれば優勝できるかもしれないから、ちょくちょく開こうかなと密かに画策中(笑)。

 

 それは冗談としても、とにかくこうしてチームが同じ気持ちで戦えているのがレッズの強み。家族のようなチームが僕の思い描く理想的なチーム。ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)も同じことを言っているし、僕自身は間違いなく、本当にそういうチームになることを願っている。家族のように思いやりを持ちあいながら、日々の生活を共にしてつらいことや苦しいことを共有し、さらに楽しみや嬉しさも同じように感じたい、と。

 

 もちろんサポーターを含めて、そんなファミリーのような一体感があって温かみのあるチームとしてタイトルを取れたら…。そんなことを想像しながら、毎日サッカーに打ち込んでいる今日この頃。

 

 悪くても「1対0で勝つ」。この言葉を、2014年の未来日記に書き込んだところで今回のコラムは終了。ではまた2週間後!

 

このコラムは隔週水曜日に更新されます。

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柏木 陽介

かしわぎ ようすけ

1987年12月15日生まれ。浦和レッドダイヤモンズ所属のミッドフィルダー。
兵庫県神戸市で生まれ、高校時 にサンフレッチェ広島ユースに。サンフレッチェユースの高円宮杯初制覇に貢献するなど活躍が評価されU-18日本代表にも選出される。2006年にトップ チームに昇格。翌年には日本代表に初選出。10年浦和レッドダイヤモンズに移籍。攻撃の要としてチームを支える。

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