インフルエンザで「学級閉鎖」、ホントに意味ある?
明確なエビデンスはなかったが…
■よくやるが、学級閉鎖、役に立つ?
インフルエンザと言えば、「学級閉鎖」「学校閉鎖」。よくありますね。
クラスの子がひとり、ふたりとインフルエンザになり、教室での大流行を防ぐために学校がお休みになります。でも、閉鎖期間中は外出もできなくてつまんない。低学年の子が学級閉鎖や学校閉鎖になると、親御さんも一緒に休まなければなりません。共働きの家庭も多くなった現在、あるいはシングルマザー、シングルファーザーの家庭もある昨今で、学級閉鎖、学校閉鎖はいろんなところに影響を及ぼします。子供だけの問題ではありません。
では、この学級閉鎖・学校閉鎖。本当に意味があるのでしょうか。
実はこの問題、よく分かっていないのです。
最新のベルギーの研究によると、週末とかクリスマスみたいに各地の学校が「一斉に」休むと、インフルエンザの流行がダウンするそうです。でも、これは我々が一般的に言うところの「学級閉鎖」「学校閉鎖」ではないですよね(Luca GD, Kerckhove KV, Coletti P, Poletto C, Bossuyt N, Hens N, et al. The impact of regular school closure on seasonal influenza epidemics: a data-driven spatial transmission model for Belgium. BMC Infect Dis [Internet]. 2018 Jan 10;18. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5764028/)。
それから、2009年の世界的なインフルエンザ流行(パンデミック、いわゆる「新型インフルエンザ」)のときに、テキサスの公立学校を8日間休みにしたら、咳などの症状の出る人は減った、という研究もあります(Copeland DL, Basurto-Davila R, Chung W, Kurian A, Fishbein DB, Szymanowski P, et al. Effectiveness of a school district closure for pandemic influenza A (H1N1) on acute respiratory illnesses in the community: a natural experiment. Clin Infect Dis. 2013 Feb;56(4):509–16.)。ただ、これは普通のインフルエンザ(季節性インフルエンザと言います)ではなく、また地域の複数の学校が一斉に休むという特殊な状況での話ですから、やはり一般的な「学級閉鎖」「学校閉鎖」に落とし込むことはできないと思います。