積極財政なしには万博も成功しない!〈前編〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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積極財政なしには万博も成功しない!〈前編〉

万博の「コスパ」を考える

■経済活性化の起爆剤がほしい!

 デフレ不況にあえぐ日本で、そんな太っ腹な話になるはずがない。
 なにせわが国は、経済活性化の基本のキである「積極財政による景気刺激」をやらないまま、デフレ不況を脱却しようという驚くべき挑戦をつづけている。
 のみならず、景気をいっそう悪くするに決まっている消費税率の引き上げまでやろうとする始末。

 どうしてそんなことになるのか、これについてはKKベストセラーズ刊の近著『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』や、BEST TIMESの記事「消費増税と『エリートの反逆』」で論じましたので、そちらをご覧下さい。
 ポイントは現在のわが国が、「経済活性化の起爆剤となりそうなもの」に飢えているということ。
 万博も当然、例外ではありません。

 菅義偉官房長官も11月25日、竹中平蔵氏との対談でこうコメントしています。
 https://www.sankei.com/politics/news/181125/plt1811250005-n1.html

 「2020年東京五輪後の一つの大きな目標ができた。東京と大阪を考えたときに、大阪は地盤沈下と言われ続けた。大阪、関西圏の活況にはものすごく大きなインパクトがある」
 「国全体が1つになって誘致活動をした。2020年東京五輪・パラリンピックに刺激される形で大阪で万博をやりたい。大阪に1つの核、目標ができた」

 

 要は経済活性化、とりわけ関西圏の景気を良くするための万博なのです。
 この現実的な発想と、「世界の子供たちの胸を高鳴らせる」という理想、ないしタテマエの間には、少なからぬ距離がありますが、それについては不問としましょう。問われるべきはこれです。

 はたして万博は、経済活性化の起爆剤となりうるものなのか?

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佐藤 健志

さとう けんじ

評論家・作家

 1966年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。

 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。

 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。

 主著に『感染の令和』(KKベストセラーズ)、『平和主義は貧困への道』(同)、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)など。共著に『新自由主義と脱成長をもうやめる』(東洋経済新報社)、『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』(VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。

 2019年いらい、経営科学出版でオンライン講座を制作・配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻、『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻、『佐藤健志の2025ニッポン終焉 新自由主義と主権喪失からの脱却』全3巻を経て、最新シリーズ『経世済民の作劇術』に至る。2021年〜2022年には、オンライン読書会『READ INTO GOLD〜黄金の知的体験』も同社により開催された。

 

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  • 2018.09.15