新皇后のご負担を案じる。来年開催予定の大嘗祭は超ハードだ
即位の前に知っておきたい、新天皇の「お仕事」③
2019年、最も大きな話題のひとつ、新天皇の即位について、皇室研究の第一人者であり『象徴天皇「高齢譲位」の真相』の著者である所功先生が解説します。〈3日連続配信の3日め〉
■約1年かけて準備が始まる大嘗祭
大嘗祭には、即位の礼よりも多様な物の準備に時間と人手を要します。一連の行事・祭儀は、おそらく平成の場合に準じて進められると仮定して、平成2年のスケジュールを列挙すれば、次のとおりです。
-
①1月23日 賢所と皇霊殿・神殿に「期日奉告の儀」
-
②1月25日 伊勢の神宮、橿原の神武天皇陵および前四代(孝明・明治・大正・昭和)天皇の各陵に「奉幣の儀」
-
③2月8日 宮中の神殿前で「斎田点定の儀」
-
④ 悠紀国の秋田県で斎田下種祭・田植式
-
⑤ 主基国の大分県で斎田下種祭・田植式
-
⑥8月2日 皇居東御苑で「大嘗宮地鎮祭」
-
⑦9月28日 悠紀斎田で「抜穂の儀」
-
⑧10月10日 主斎斎田で「抜穂の儀」
-
⑨10月25日 悠紀・主規両地方から皇居の大嘗宮斎庫に「新穀供納」
-
⑩11月12日 宮殿で「即位礼正殿の儀」「祝賀御列の儀」
-
⑪ 宮殿で「饗宴の儀」(12日夜から15日まで7回)
-
⑫11月13日 赤坂御所で外国賓客とのご会見/赤坂御苑で園遊会
-
⑬11月16日 宮殿で伊勢の神宮に「勅使発遣の儀」
-
⑭11月20日 大嘗祭前二日「御禊」と「大祓」
-
⑮11月21日 大嘗祭前一日「大嘗宮鎮祭」と「鎮魂の儀」
-
⑯11月22日 午前、大嘗祭当日、賢所・皇霊殿・神殿に「大御饌供進の儀」
-
⑰ 夜半、「大嘗宮の儀、悠紀殿供進の儀」
-
⑱11月23日 未明、「大嘗祭の儀、主基殿供進の儀」
-
⑲11月24日 宮殿で「大饗の儀」(25日までに3回)
-
⑳11月25日 大嘗祭後一日「大嘗宮鎮祭」
-
㉑11月27日 即位礼・大嘗祭後「豊受大神宮に親謁(参拝)の儀」
-
㉒11月28日 即位礼・大嘗祭後「皇大神宮に親謁の儀」
-
㉓12月2日 即位礼・大嘗祭後「神武天皇陵・孝明天皇陵に親謁の儀」
-
㉔12月3日 即位礼・大嘗祭後「明治天皇陵に親謁の儀」
-
㉕12月5日 即位礼・大嘗祭後「大正天皇陵・昭和天皇陵に親謁の儀」
-
㉖12月6日 即位礼・大嘗祭後「賢所・皇霊殿・神殿に親謁の儀」
-
㉗ 即位礼・大嘗祭後「賢所御神楽の儀」
このうち、③の「斎田点定の儀」というのは、神饌用のお米と粟を作ってもらう田畑の地方を、古式どおり亀卜(亀の甲の裂け目で占うこと)により定める儀式です。
それは古来、皇居のある所(宮処)を中心にして、二つの地方(もと国、いま県)を選ぶのですが、おおよそ東の方を悠紀の国、おおよそ西の方の国を主基の国と申します。それが大正と昭和の時は、京都を中心にして、悠紀の国が愛知県(現岡崎市六ツ美町)と滋賀県(現野州市三上)、主基の国が香川県(綾歌郡綾川町)と福岡県(福岡市脇山町)に卜定されました。
また平成の大嘗祭は、東京を中心にして、悠紀の国が秋田県(南秋田郡五城目町)、主基の国が大分県(玖珠郡玖珠町)に卜定されています。
- 1
- 2