「格差」と「レベルアップ」。大西将太郎が見た平成最後の花園 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「格差」と「レベルアップ」。大西将太郎が見た平成最後の花園

1回戦から解説を続ける大西将太郎さんに聞く。注目選手も!

■ここまでで気になったチームは?

 Aシード校の力が抜けていますが、ここでは見ていて楽しい「ボールを動かす」ラグビーをしていたチームをあげたいと思います。ぼくも戦いを解説させてもらった報徳学園は、選手たちの表情も楽しそうで、まさしく「ラグビーフットボール」をプレーするチームでした。その対戦校の大阪朝高もお家芸のモールにこだわらず、よくボールを動かしていた。

 天理も注目です。フラットな浅いラインをしき、飛ばしパスを使わずひとつひとつボールをつなぐ。サイズは小さいもののパスが巧みなフォワードと一体となってボールをつなぎ、最後はバックスで抜いていく。伝統のラグビーにますます磨きがかかっています。あとは、公立校ながらBシードに選ばれた、長崎北陽台も。長崎のチームは常にボールを動かす楽しいラグビーをしていますね。

 

■ここまでで気になった選手は?

 まず、大阪朝高のセンターでキャプテン・李承信(りすんしん)選手。2年生から高校日本代表に選ばれた逸材です。兄弟3人とも大阪朝高でキャプテンをつとめる、生粋のリーダー。今後さらに伸びる可能性を秘めています。

 次に、新田のスクラムハーフ・泉羽矢斗選手。新田は監督が選手時代スクラムハーフで、9番にこだわりを持ったチーム。その中でフォワードとバックスをうまくいかしていました。全国的には無名ですが、まだ2年生。これからさらに伸びてほしい選手です。

 最後に、報徳学園のバックスリー、11、14、15番ですね。左ウイングの植田和磨選手、右ウイングの下村寛太選手。そしてフルバックの山田響選手。山田選手はひとり異次元のスピードでした。線は細いですが、スピードとセンスがすごい。ああいった選手がいると相手はカウンターアタックが怖くて、キックが蹴りにくくなりますよ。

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取材は、12月30日に行われた。花園は1月3日からいよいよ準々決勝に入る。

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大西 将太郎

おおにし しょうたろう

ラグビー元日本代表、解説者。

地元東大阪市の布施ラグビースクールでラグビーを始め、啓光学園高3年で全国高校大会準優勝。高校日本代表では主将を務め、スコットランド遠征全勝の快挙を達成。ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)は通算143試合に出場。2007~08シーズンは「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝く。日本代表には同志社大4年時(2000年)に初選出、以降、2008年のサモア戦まで通算33キャップ(試合)に出場。2007年ワールドカップフランス大会のカナダ戦では終了直前に同点ゴールを決め、12-12と引き分けながらも日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止めた。 2016年現役引退。現在はJSPORTSやWOWOWのラグビー解説者として、また2019年ラグビーワールドカップの認知活動および、ラグビーの普及活動のため全国をまわっている。


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