初めて獲物を捕った日の事。命のやりとり<br />※注意! 捕獲したイノシシの写真がありますので苦手な方は注意してください。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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初めて獲物を捕った日の事。命のやりとり
※注意! 捕獲したイノシシの写真がありますので苦手な方は注意してください。

【第7回】都内の美人営業マンが会社を辞めて茨城の奥地で狩女子になった件

【獲物を捕った日にやるべき事】

 さて! やっとこさ獲物を引きずり出した後はやることがたくさんあります。

 まずは【報告】です!

 私たちは猟友会に加入しているので、獲物を捕った後は報告義務があります。捕獲者の名前、捕獲場所、獲物の性別、おおよそのキロ数、焼却処分の有無などを、猟友会支部長にその場で電話連絡します。電話連絡の時に、猟友会支部長から『ご苦労様。おめでとう』と言ってもらえた時に初めて、緊張が解け、自分の顔の表情筋が緩むのを感じました。【報告】が終わったら次は【写真撮影】です。猟期が終わった時に提出するための写真もいくつか決まった規定があります。捕獲した獲物の右側面に捕獲日を白いスプレーで記入し、必ず《尾っぽ》がついた状態で写真を撮ります。

 

 何故、《尾っぽ》が付いた状態なのかって?? この後、この《尾っぽ》(現物証拠)を切り取り、県に提出することによって報奨金を頂くことができるのです!(2018年、茨城県の場合。※年度や場所によって提出する部位や方法は違ってくるそうです※)

 これで、ほんの少しでも、免許を取得するのにかかった費用や、罠の制作費用に充てることができますね! 

《尾っぽ》の回収は週に2回、決まった時間に最寄りの市役所へ回収車がくるのでその時に提出します。ちなみにですが、私が提出したときは、回収日までに少し時間があったのでジップロックを2重に密封して、回収日までに腐らないように冷蔵庫に保管していました!(;´∀`)きっとたくさん捕る人は管理が大変でしょうねぇ…。

 

 報告の電話連絡をするときに、捕った獲物を県で引きとり焼却処分にするか、自己処理をするかを聞かれます。私たちは迷わず自己処理を選びました。私達には、狩猟を始める前に考えたいくつかの決め事があります。その中で、捕った獲物は食べる!と決めていたんです。私たちの都合で奪う命、処分してしまうのではなくて、食べれるところは食べ、皮を剥ぎ、なめし皮にしよう。骨はナイフやアクセサリーを作ろう。使える物は全部使おう! そう決めていました。命への敬意の払い方は、人それぞれ違います。埋葬し、祈ることで敬意を払うのか、加工して道具やアクセサリーなどのモノとして使っていく事によって敬意を払うのか、血肉を食べ、己の命に繋ぐことによって敬意を払うのか、人それぞれだと思っています。いろんな立場がある以上、いろんな考え方があって当然ですもんね。こうして情報発信させて頂いているとたくさんのご意見を頂きますが、中には「どんな理由であれ、命を自ら狩りに行くなんてとんでもない。情報発信を辞めるべきだ!」という旨の内容を過激な言葉で頂くこともあります。そういった方は他者の命を直接的に奪わないことによって、命に対して敬意を払っているのでしょう。その選択も良しだと思います。大切なことは己の信念に沿って彼ら命に敬意を払い、自ら考え、動くことです。私は尊厳を持って、祖父母の土地を守るため彼らを狩り、そして自らの命に繋いでいくと決めたのです。

 

【終わりに】

 今回は私が初めて獲物を捕った日の事を綴らせて頂きました。次回は、解体について深く掘り下げて綴らせて頂こうと思います。なぜ私が解体を自ら進んで行うのか。そして解体方法や解体したお肉の保存方法についても綴らせて頂きます。この連載を通して私の、私たちの想いが、少しでも誰かに繋がり、そして何かのお役に立てれば幸いです。

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ノゾミ

茨城県の新米猟師。本業はヨガのインストラクター。東京に10年以上住んだ後、一念発起して茨城へ移住。ヨガレッスンの傍ら、おばあちゃんの畑のお手伝いをしている。畑に出る猪を駆除するために“狩猟免許”を取り仲間と共に害獣駆除を開始。近年の猟師・農家の高齢化・減少の現実受けて少しでも若い人に、そしてたくさんの人に“農業”について、“狩猟”について、そして“いのち”について興味を持って持ってもらいたいという想いから2019年1月よりYouTubeにて“Nozomi's狩チャンネル”を配信。2020年にはワーキングウエア(作業服)・防寒着・安全靴・長靴、レインスーツの専門店チェーン<ワークマン>公式アンバサダーにも就任。



♦Nozomi's狩チャンネル

https://www.youtube.com/c/nozomikarichan



♦ランドネたのしみ隊第一期生


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