雅子皇后や紀子妃殿下のお支度もされた皇室御用達の
与儀美容室が顧客から学んだ美しい生き方とは?
創業70余年の老舗美容室が学んだ一流のお客さまの作法
この「与儀美容室」は、日本を代表するホテル「オークラ東京」の中にあります。ホテルにお泊まりのお客さまにご利用いただくことも多いため、結婚式や、成人式など、お客さまの大切なライフイベントをお手伝いする機会も多いのです。
そんなホテルオークラにお越しになるお客さまは、私たちだけでなくいろいろな方面のプロと長くおつきあいされていらっしゃいます。
常連のお客さまは、何かお困りごとがあった時に「オークラに相談すれば誰かが解決してくれる」と思ってお越しになられます。ホテルの方たちは皆、基本的にサービスに慣れており、そこにはお客さまのために動くことに対して、喜びを感じる各部門のプロが揃っています。それが他の部門、部署とも連携してお客さまのために奔走しますから、問題の解決も速いのです。
あるお客さまは、お菓子を作るのが大好きな方で、ご自身でも試行錯誤を重ねケーキやマフィンなどを作られるのですが、どうしても上手くできたかった時は、オークラ東京のパティシエに「こんな風に作りたいのだけれど、どうしたらいいのかしら?」などと相談をなさるのです。するとパティシエは「オーブンの温度は何度くらいですか?」とか「それなら、こうしたらよいのではないでしょうか?」などと細かく説明します。そうするうちにお客さまの腕前も上達していったのです。
そのお客さまの素晴らしいところは、それだけで終わらないところなのです。教えていただくだけでなく、海外に行ったときにお菓子をお土産として買ってきたり、めずらしいお菓子を見つけた時は、すぐに購入し、レストランのスタッフたちに「ちょっとめずらしいお味でしょ?こういうものを食べるのも、あなたたちの仕事のひとつなのよ」と言ってひとりひとりに配られ、パティシエの技術の向上をよろこんでいらっしゃるのでした。
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『与儀美容室がお客さまから学んだ美しい生き方』
与儀育子
戦前、銀座の「資生堂美容室」で働いていた初代・与儀八重子氏が1948年、焦土となった銀座の一角に「シャンプーができる美容室」として開業したのが与 儀美容室のはじまり。その後、丁寧な仕事ぶりや革新的な技術の導入、さまざまな縁も重なって宮家が通うようになり、その後、順宮厚子内親王殿下(池田厚子 さま)の婚礼の支度などを任されるようになる。さらに紀子さまの婚礼支度、雅子さまの婚礼支度、眞子さまや佳子さまの式典や晩餐会でのお支度など、皇室か ら信頼される一流美容室に。さらに与儀美容室は、縁あって山中教授や本庶先生など、ストックホルムで行なわれるノーベル賞受賞者の授賞式支度もされていま す。
そんな一流美容室でありながらも、モットーは「お客様目線」。例えばカラーで白髪を隠そうとしている客に対してカウンセリングし、白髪を活かす「グレーヘ ア」を提案するなど(※そのままカラーをすれば、当然カラー料金が利益になるが、個人の髪質やスタイルなどを踏まえ、客のためにならないことはしない=利 益のみを追求することはしない)、偉ぶることのない仕事ぶりはテレビなどでも特集されています。
本書は皇室御用達ながらも、けして高飛車になることなく地に足をつけた仕事ぶりで高い評価を得ている与儀美容室の「仕事の流儀」を紹介。さらに三代目であ る与儀育子氏が考える将来の展望なども含め、あまり語られることのなかった、与儀美容室の「今まで」と「これから」にも迫ります。