親孝行したいなら
「在宅介護」をしてはいけません!
親の介護をしないとダメですか?①
親孝行の呪いを
「子供」が断ち切る覚悟
「親の面倒を見るのは子供の仕事」
「みんなそうやってきたから」
「それが当たり前だと思っていたから」
私は「この呪い」を断ち切るべきだと思っている。
『週刊新潮』の連載「TVふうーん録」の辛口批評でバッサバッサと斬りまくるコラムニストの吉田潮さんは「認知症」となった父への介護で気づいた点を『親の介護をしないとダメですか』という1冊の本にまとめた。
吉田さんは、母と姉とともにそれこそ、介護する父の糞尿にまみれながら、一つの結論を、現在40〜50代の「超高齢化時代の子供たち」に投げかける。
それは「親孝行への呪い」とそれに対する子供側の「覚悟」である。
吉田さんはこう言う。
「親の介護では『無理』をしない、『罪悪感』を持たない、『自分が主語』の生活を維持する———それが親孝行です」
在宅介護の限界——愛だけでは
「親」も「自分」も救えない
65歳以上人口が21%を超える世の中を「超高齢化社会」と言うが、日本は2007年に「超高齢化」を迎え、来年、2020年には約30%を占める。つまり、3人に1人が65歳以上。「長生きする親、老いた子供」の「老々介護」の現実となった。
その実態は、「介護疲労」や、極端には「介護殺人」にまで及ぶケースがある。さらに、24時間の介護によるウツ病などの発症率も高いとも言われる。特に「在宅介護の限界」は日増しにニュースとなり、私たちもテレビで目にする機会も多くなった。
にもかかわらず、「介護離職」は、毎年約10万人弱(総務省「就業構造基本調査」より)も数える。この背景にあるものは、当然、「親の面倒を見るのは子供の仕事」だという親子愛という「呪い」があるからだ。
この「呪い」が恐ろしいのは、介護する子供自身の「人生」を犠牲にせざるを得ない環境が待っていることだ。つまり、再就職の道は「険しい」現実。親への献身でウツになり、戻るべき自分の職場(キャリア)も失うのである。
自分の人生をまっとう
すべきことこそ「親孝行」
吉田さんは、こうした状況を踏まえて、断言する。
「今40代、50代の人は親の介護よりも自分の老後を心配した方がいい」
老いた親を持つ子供にできることは、「自分の人生」の中心にある仕事や生活こそまっとうすべきだということ。吉田さんは同世代に向けて経済的な問題はあるにせよ、介護保険制度を最大限に活かしながら、こう励ます。
「介護はプロに任せるべき。いつも誰かが(他人である介護士)見守る環境に感謝し、自分たちが24時間の自宅介護で疲弊することなく、元気に働き続けて生活を維持することのほうが、結果的に、親孝行だということなんです」
それでも、皆さんは「在宅介護」を行いますか。