ドラマ『シャーロック』ディーン様ワールド全開、上質かつジューシーなミステリーここにあり
今宵、どんなドラマを描こう 第6回
■天然男子大代表の座はひょっとして彼のもの
ディーンさんが古典文学を演じるのはこれが3作品めにあたる。私が2018年で一番面白かったと原稿を書かせてもらった『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-(略称・モンクリ)』。そして『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(ともにフジテレビ系)。そして今作。特にそのスタートを切った『モンクリ』は原作の映像化や、分かりづらい設定にスタート前からモヤった。
それがスタートすると、奇怪なストーリーに惹かれていく。結婚式の途中、冤罪により拷問を受けた主人公の柴門暖(ディーン)。なんとか地獄を脱出して、日本に戻り、別人となって復讐劇を開始するという、またこれも強引さが感じられる展開だった。その強引さを訴求力に変換させていたのがディーンさんだ。
彼は私がバラエティ番組で見る限り、キンプリの平野さんと互角勝負の天然さんである。それもご本人は至って大真面目なのに、スタジオが跳ねてしまうという理想的な笑いの魅力を持つ。
確か昔『櫻井・有吉 THE夜会』(TBS系)でのこと。ご本人希望の火鍋を食べるために食レポロケに行ったのだが、本人のこだわりが強くなかなか理想の火鍋に辿りつかない。普通なら自分のために用意してくれた料理だと多少不味くても、ほくほく食べるところを彼は一切妥協しない。
「これ(つけダレ)の中に入ってるソース、(調味料)分けて持ってこられる?」
と言い、店の中でまさかのオリジナルソースを調合する。ただご本人は至っては真剣そのもの。この姿から私のディーンさんに対する見解が変わった。いや、好きになった。
そして『モンクリ』から約一年を経て、彼は名探偵となって帰ってきてくれた。番宣での純真無垢な姿も、周囲を巻き込んでいく演技も見ていて飽きない。さらにドラマの主題歌も彼が歌っていることも、ここまでくると納得なのである。普通、俳優さんが主題歌を歌うと滑ることが多い。最近で成功しているといえば菅田将暉さんくらいだろう。でもその先に歌っていたのはディーンさんだと思うと、彼の存在価値は高い。自我を貫くことの重要性を思い知らされる。
今夜放送の『シャーロック』は最終回へ近づいていく。誉が、単純な事件の連打に飽き始めているかもしれない。ディーンさんの演技の波に揺られていられるのは、あとわずか。
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