『4分間のマリーゴールド』壮大なラブファンタジーが今夜、終わってしまう
今宵、どんなドラマを描こう 第7回
■ドラマ要素のおいしいところをギュギュッとな
『4分間のマリーゴールド』
TBS/毎週金曜 よる9時
“花巻家は廉(桐谷健太)、沙羅(菜々緒)、みこと(福士蒼汰)、藍(横浜流星)の四人兄弟で暮らしている。みことだけは他三人の兄弟たちと血が繋がっておらず、幼少期から一緒に暮らす、姉・沙羅に片思いをしていた。その思いはやがて実り、二人は結婚することに。ただ問題はみことに視えてしまった、沙羅の未来。手を重ねた人の運命が視えてしまうという特殊な力によって知ってしまったのは、最愛の女性が一年後に死亡する光景……。その一年後が迫ってきている。”
『4分間のマリーゴールド』は何かと忙しい設定だった。確かにテレビドラマは、日常では考えられないシチュエーションが必須でそこを起点にして始まる物語が楽しい。それを追い続けることが視聴の醍醐味だ。でもこの作品は怒涛のごとく、ドラマのおいしいところが押し寄せてきた。私が感じた、その数々を最終回直前に紹介していきたい。これを読んだら全10話へ一気に追いつけるかも……しれない。
まずは主人公のみこと。救急救命士の彼が、手を重ねるだけで最期の瞬間が視えてしまうという設定が、このドラマにおける一番のギミック。そんなことがあり得るわけがないけれど、初回から最終回間際まで見ているとこの様子が普通に感じてくるから不思議。第9話ではその能力が消えてしまった。これは仮面ライダーが変身機能を失ってしまったくらいの衝撃。
花巻家は家族が多いだけあって、いろいろな客が訪れる。廉の元カノ、親友、沙羅の絵画教室に通う子どもたちに、海外を飛び回る写真家も母。そして誰かが来るたびに、満面の笑顔で
「ひろちゃーん!」
と我が家へ迎え入れる四人兄弟。自分の記憶を回想しても客人を
「(いや何もそこまで……)」
と思うほど、親しく迎えることはない。最近のドラマでもあまり見かけるシーンではなく、最初は違和感があった。でも途中、アメリカンファミリードラマとの既視感があるんだと気づいた。あの人たち、よく抱き合って客人を迎え入れてると思ったら、このシーンも消化。
そしてこの作品、そもそもラブストーリーが主軸なのだが、どうしても隠しきれない存在感を放っていたのが、お兄ちゃんの廉である。自分が家長だと豪語して、家族のために恋を捨てる。初めは姉弟の恋愛に反対、末っ子の進路は大学進学だけだと譲らない。ムカムカすると怒鳴ったあとは、飲みに行っちゃう。ちゃぶ台こそひっくり返さなかったものの、そこには日本伝説のファミリードラマ『寺内貫太郎』(TBS系・1974年)を彷彿とさせる頑固一徹っぷりが光っていた。
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