「2019年、一番心をさらわれたドラマには“ワケあり”が表現されていました」
今宵、どんなドラマを描こう 第11回
※筆者個人の主観による選出ですので、各テレビ局等は関係ありません。
2位 フルーツ宅配便
主演・濱田岳 2019年1〜3月放送 テレビ東京
“東京の仕事を辞めて、地元に戻った咲田真一(濱田)。知人のミスジ(松尾スズキ)に誘われてデリバリーヘルス『フルーツ宅配便』の店長見習いとして勤務することになる。ヘルス嬢たち、そして客も含めた全員がワケありというハードな環境で咲田は何を掴むのか。”
テレ東が制作する深夜ドラマのファンである。オーソドックスな作品もあるけれど、こんな表現規制が厳しくなってきた時代に、ぶっ込んだテーマを取り扱うことが多い。『フルーツ宅配便』もそのひとつだ。舞台は、まさかのデリヘル。もうその勇気だけでも称えたくなる。
毎回ゲスト役の抱えたものが多すぎて、まるで『ノンフィクション』(フジテレビ系)を見ているかのような錯覚に陥った。客にはクレーマー、真面目さゆえにデリヘル嬢に恋してしまう老人。覚醒剤をやめて、息子のために働いていたのに交通事故を起こして借金苦、またクスリに手を出してしまうデリヘル嬢。私たちの日常にはない世界だからこそ、物悲しさも教えてくれた。
「私がさ、なんかどっかで努力していたら、人生変わっていたのかな。人生って努力でどうにかなるものなのかな」
そんな内容に一滴のオアシスになっていたのが主演の濱田岳さん。彼という中和剤がなかったら、このドラマは重すぎて観ることができなかったかもしれない。松尾スズキさんの風俗業なのに、軽さを見せつけてくる存在もお見事。さすがのキャスティング力も合わせて、やっぱりテレ東の深夜ドラマは最高だ。これからも日本の倫理ギリギリのところに向かって行ってほしい。
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