国際社会がタリバンをテロリスト指定するのは、なぜ間違っているのか?【中田考】
『タリバン 復権の真実』をなぜ私は著したのか?
■国際社会がタリバンをテロリスト指定する大罪
残念ながら、国際社会はタリバンの主張を理解しようとせず、テロ組織に指定し、経済制裁を課し、「9・11」をきっかけに2001年10月にアメリカの主導により一方的に侵攻し、タリバン政権を崩壊させ、20年にわたる戦争に突入してしまいました。
アメリカの侵攻から20年を経た2021年8月15日のタリバンの首都カブール奪回は、アフガニスタンを統治できるのは本来の正統政府であったタリバンの「イスラーム首長国」であることを証明しました。しかし、20年にわたって、復興支援の名の下に数百兆円の富を浪費し、数十万人の犠牲者を出し、自分たちの価値観を力づくで押し付けアフガニスタンの社会に消し難い亀裂と分断をもたらし、深い傷跡を残しながら、欧米は占領政策の失敗から何一つ学ばず、タリバンに対して25年前から何の進歩もなく、タリバンを理解しようとせず、彼らの言動を自分たちの常識と価値観の基準で一方的に断罪しそれを彼らに押し付けようとする無知と偏見に満ちた報道を繰り返しています。日本の政府や研究機関、メディアも絶対多数がそれに追随しており、このままでは同じ失敗を繰り返すことになるのは必定です。
更に悪いことに、タリバンの復権後、アフガニスタンは酷寒の冬を迎え、旱魃と寒さにより多くの餓死者が出ることが予想されています。それゆえなにはともあれ、タリバンに対するテロリスト指定と経済制裁を迂回して緊急人道支援を行い、ついでテロリスト指定と経済制裁自体を緩和、解除していくことが求められているのです。筆者は2011年から、日本に帰化したカンダハル出身のアフガン人医師レシャード・カレッド博士が理事長を務める「特定非営利活動法人カレーズの会」を通じてアフガニスタンの人道支援を行ってきました。
蟷螂之斧と知りつつ筆者がタリバンのカブール奪還を承けて、『タリバン 復権の真実』(KKベストセラーズ)を著したのは、40年に及ぶ内戦によって荒廃したアフガニスタン国民の苦難をこれ以上長引かせるような同じ政策決定の失敗を繰り返さず、タリバンが安定した政権運営をできるように日本政府が新生タリバンと適切な協力関係を築くことができるように筆者の知るタリバンの実態を伝え少しでも偏見を取り除こうと思ったからです。
本書が一人でも多くの人の目にとまり、タリバンとアフガニスタンについて知見を深めてアフガニスタンの未来に関わっていこうと考える者が現れるきっかけとなれば、筆者にとって望外の喜びである。
文:中田考
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◉中田考『タリバン 復権の真実』出版記念&アフガン人道支援チャリティ講演会
日時:2021年11月6日 (土) 18:00 - 19:30
場所:「隣町珈琲」 品川区中延3丁目8−7 サンハイツ中延 B1
◆なぜタリバンはアフガンを制圧できたか?
◆タリバンは本当に恐怖政治なのか?
◆女性の権利は認められないのか?
◆日本はタリバンといかに関わるべきか?
イスラーム学の第一人者にして、タリバンと親交が深い中田考先生が講演し解説します。
中田先生の講演後、文筆家の平川克美氏との貴重な対談も予定しております。
参加費:2,000円
※当日別売で新刊『タリバン 復権の真実』(990円)を発売(サイン会あり)
★内田樹氏、橋爪大三郎氏、高橋和夫氏も絶賛!推薦の書
『タリバン 復権の真実』
《内田樹氏 推薦》
「中田先生の論考は、現場にいた人しか書けない生々しいリアリティーと、千年単位で歴史を望見する智者の涼しい叡智を共に含んでいる。」
《橋爪大三郎氏 推薦》
「西側メディアに惑わされるな! 中田先生だけが伝える真実!!」
《高橋和夫氏 推薦》
「タリバンについて1冊だけ読むなら、この本だ!」
※イベントの売上げは全額、アフガニスタンの人道支援のチャリティとして、アフガニスタン支援団体「カレーズの会」に寄付いたします。
※上のカバー画像をクリックするとAmazonサイトへジャンプします。