「好きでもない男たちとセックスするということ」 またその後に起こった心境の変化【神野藍】
神野藍「 私 を ほ ど く 」 〜 AV女優「渡辺まお」回顧録 〜連載第17回
【どんなときでも最後に自分を味方するのは・・・】
しかしながら、自分のことをぽつりぽつり書き始めてから、以前よりはそんな自分も肯定的に受け止められるようになったし、抱える傷一つ一つがどことなく愛しく思えるようになった。荒療治かもしれないが、嫌でも毎週自分について考えないといけないというのは私には丁度良かったのかもしれない。ただし、完全に変化したわけではない。向き合い方を覚えただけで、今でも重苦しい感情の泥沼にはまることはよくあるし、ふとした瞬間に傷は化膿し始める。
だからこそ、私は自分自身を救うために、愛するために言葉を綴っている。そうしないと色々な感情の波が押し寄せてきて、暗いところへと引きずり込まれてしまいそうだから。言葉として出力し続けないと、私は前に進めないし、私が至る所につけた傷や色々なものから受けた傷は修復されていかないのだ。どんなときでも最後に味方なのは私だけなのだ。
毎週かなり個人的なことを書いている自覚はある。自覚があるからこそ、この文章を読んでくださっている方々には頭が上がらない。最近「エッセイの内容が変わってきたね」と言われることも多いが、それは私が前に進んでいる証拠かもしれない。たまに逆行したり、停滞したりするかもしれないが、それも楽しみに待っていてくれると有難いなと思っている。
(第18回へつづく)
文:神野藍
※毎週金曜日、午前8時に配信予定