日本軍の暗号から山本の飛行経路を解読!
18機の襲撃機が待ち伏せ攻撃に向かう
山本五十六暗殺ミッションの真相 第4回
山本五十六大将暗殺の作戦名は“ディリンジャー”とされたが、この名称には含みがあったようだ。ひとつめは、1865年4月14日のリンカーン大統領暗殺に使われた銃の名がスペルの1文字違いであること、ふたつめが、1934年7月22日にFBI捜査員に射殺された大物ギャングの苗字であることで、どちらもアメリカ人にとっては「忌むべき名前」である。
こちらが暗号を解読して得た情報に基づいて行動していることを隠蔽するため、長官一行との出会いは偶然っぽくしなければならず、さらに一行に対して敵戦闘機隊が行動中であるという警告が伝えられないよう、ソロモン海域の島嶼に点在する日本軍の対空監視哨と電探を回避する必要があった。
そこでミッチェルは、ブーゲンビル島東南部を通る長官一行の飛行路に向かうに際して、ソロモンの各島から視認される空域を避け、そのうえさらに往路では、いっそう見つかりにくくなる洋上低空飛行を採用した。そして長大な飛行距離に加えて低空飛行での燃料消費率の増加に対処すべく、G型から装着可能になった310ガロン入り大型ドロップ・タンク(投棄式増加燃料タンク)が、作戦実施に間に合わせてポートモレスビーから緊急空輸された。
運命の4月18日早朝、襲撃隊18機はミッチェルの直率で離陸したが、1機がパンクで出撃を中止し、もう1機がドロップ・タンクの故障で引き返した。運悪くこの2機は「キラー」編隊機で、編隊長ランフィアとレックス・バーバー中尉の2人だけに半減した戦力を補うべく、ベスビー・ホームズとレイモンド・ハインの両中尉機が同編隊に入った。