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「ジャニーズのクィア史」 男性アイドルの「姫ポジ」はいかにして生まれたか?【梁木みのり】

 

 関ジャニ∞を初期に脱退した内博貴が、メンバーカラーピンク、可愛いもの好き、最年少でメンバーからも可愛がられていたという、まさに現在でいう「姫ポジ」の王道だったため、安田のキャラづけは内の埋め合わせという面もあったかもしれない。かつてはバラエティ番組などで「オネエ疑惑」とイジられ、現在でもレディース服やネイルといった、性規範にとらわれない自己表現をしている安田が、冒頭で触れた「男性の中の女性性」を体現する役を演じる意義は大変大きい。

 安田・上田よりは“可愛いキャラ”のイメージは薄いが、嵐二宮和也もクィア文脈に含めてよいだろう。自身作詞のソロ曲「虹」と「Gimmick Game」は女性視点であり、ファンの間では「女子宮」「あざと宮」と呼ばれることもあった。

 さらに、中性的なビジュアルは元NEWS手越祐也、クィア的なファッションはNEWS増田貴久やWEST.(旧ジャニーズWEST)神山智洋も担ってきた。安田・増田・神山は衣装でスカートを履きこなすこともあった。まだ2010年前後の話だ。

 2015年、Hey!Say!JUMP伊野尾慧が茶髪マッシュのヘアスタイルで「女の子みたい」と話題になってブレイクすると、風向きが変化する。伊野尾を筆頭に、Hey!Say!JUMPには中性的な美貌をもつ山田涼介や、身長159cmと小柄な知念侑李など、フェミニンな魅力のあるメンバーが揃っている(もちろん全員ではないが)。彼らはグループ単位で女性的な可愛らしさを表現することができた。クィアファッションの系譜はここで鳴りを潜める。

 ちなみに伊野尾のブレイクと時を同じくして、今では故人となってしまったりゅうちぇるがテレビで引っ張りだこになっていた。さらに、男性的なかっこいい魅力をもつ女性アイドル・欅坂46平手友梨奈がデビュー。まさに現在につながる多様な性のあり方がメインストリームで盛り上がってきた時期だった。

 上田・伊野尾のような女性と見紛うビジュアルをもつアイドルとして、元King & Prince岩橋玄樹もいた。国民的認知を得る前に脱退してしまったのが口惜しい。後続では、SixTONES京本大我、Travis Japan七五三掛龍也、まだJr.だが7MEN侍の中村嶺亜など、多くのグループに中性的なビジュアルのメンバーが在籍している。各グループの“可愛いキャラ担当”を指す「姫ポジ」「姫枠」といった言葉も、アイドルファンたちの間ですっかり定着した。

 なにわ男子大西流星は、ビジュアルの可愛さだけでなく、メンズメイクの知識で活躍の場を広げている。かつて旧ジャニーズタレントの性規範にとらわれない表現はファッションが中心だったが、現在はメイク・美容へと移り変わっている。

次のページ世界を席巻するK-POPに目を転じると、可愛らしいビジュアルの先駆けは?

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梁木みのり

はりき みのり

ジェイ・キャスト所属ライター

ライター

Z世代。ジャニヲタ歴12年。K-POPオタク歴まだ2年。ジェイ・キャスト所属ライター。早稲田大学卒。

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