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地形で読み解く古代史!なぜ奈良は古代日本にとって重要だったのか?

奈良盆地は天然の要害だった! ●シリーズ①地形で読み解く古代史重要地点

常に新たな視点を持ち、従来の研究では取り扱われなかった古代史の謎に取り組み続けてきた歴史作家・関裕二が贈る、『地形で読み解く古代史』絶賛発売中。釈然としない解釈も、その地にたてば、地形が自ずと答えてくれる!? 古代史重要地点をシリーズで紹介いたします。

奈良盆地は天然の要害

 奈良盆地は西側の山塊が天然の要害(ようがい)になっていた。

 瀬戸内海方面から攻めかかる敵は、たいがいこの山並みに阻まれた。

 神武(じんむ)東征説話で、生駒山を背に陣取る長髄彦(ながすねびこ)に、神武天皇は勝てなかった。

 時代は下り、楠木正成(くすのきまさしげ)も葛城(かつらぎ)山系を背にして、鎌倉幕府の大軍を撃破している。

 縄文人が西からやってくる稲作文化を奈良盆地でくい止めようとしたように、三世紀から四世紀の「ヤマト建国」も、実際には、「東の西へのレジスタンスが実を結んだのではないか」と筆者は考える。

 なぜなら、これまでの常識どおり、西側から東に攻め上った征服者がヤマトを建国したのならば、奈良盆地を都に選ぶはずはなかったからだ。

 奈良盆地は西からやってくる敵をはね返すことに適していたが、東から攻められたら、ひとたまりも無い。蹴散らしたと思っていた先住民に逆襲されるのが落ちだ。

国土地理院・色別標高図を基に作成

 名阪(めいはん)という国道(二五号線)がある。車の往来が激しく、制限速度が六〇~七〇キロなのに、地元の方は一〇〇キロぐらいのスピードで走っている。

 信号がなく、そのくせ合流レーンが恐ろしく短いインターがあって、途中から乗るときは、度胸が必要な時があるという恐怖の道である。

 ただ、福住(ふくすみ)インターから先の天理インターに向かう下りの長い坂道が、絶景なのだ。

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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