なぜ僕は「5部」のチームを選んだのか。【岩政大樹の現役目線】
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■「チーム」に基準を置くと違うものが見えてくる
結局、悩んだら行き着くのは、自分の生き方です。
僕はただ、「頼む。これはお前じゃないとダメなんだ」というような言葉に弱いのだと思います。頼まれたら断れない性格なのです。
そして、それが周りから「まだ早いだろう」と言われる選択をしてしまう一番の理由かもしれません。
J1でプレーできなくなったらJ2、J2でできなくなったらJ3やタイリーグ、それでもダメなら引退。そうした選択をしていくと、いつも「自分」のことに目が行きがちになります。「自分」に基準を置いて、「自分」がどこにいるかが選択の理由になります。
しかし、「チーム」や「チームメイト」に基準を置いていると、違うものが見えてきます。「このチーム(チームメイト)をどうしたいか」に始まり、そのために「自分は何をすべきか」が見えてきて、そこから「自分をどこに置くべきか」が出てきます。
そう考えてしまうと、結局、早め早めに「次」を選択したくなってしまうのです。
いちサッカー選手としては損をしてきたところもあると思います。今回の岡山の退団も、違う生き方を選んでいれば、違う形になったのかもしれません。
しかし、今になってようやく、僕は随分得をしたと思えるようになりました。「人と人」、「信じること」、「共有すること」。そうした「響くもの」に目が行くようになり、お金では変えられないものを手に入れられたと思うからです。