Perfume初めての東京ドーム公演はピンチの連続だった 演出振付家・MIKIKOが明かす当時の苦悩
MIKIKOさん2月毎日更新 Q23.手がけたなかでとくに印象に残っている公演はありますか?
5万人のなかにポツンと立つ3人を引き立たせた、東京ドーム公演
もともと振付をメインに活動していた私が初めて演出に携わったのは、2005年です。地元の広島で『DRESS CODE』という舞台で演出、振付、脚本、キャスティングなどすべてを手掛けました。
それから何度も演出をしていますが、毎回「どうしてこんなに大変なことばかり起きるんだろう!?」って思いながらやっています。海外公演で一度もリハーサルができないとか、ピンチな状況しかありません(笑)。
2010年に行った、Perfumeの初めての東京ドーム公演、このときもある意味ピンチだったんです。過去にドームの演出を経験しているスタッフにも「バックバンドもバックダンサーもいなくて、3人だけで東京ドームに立つなんてありえない」と言われていました。でも、過去の公演にもプロモーションビデオにも登場したことがないバックダンサーをドームだからといって突然出すのも違和感があるし、中田(ヤスタカ)さんの音楽に、バンドを付けるのも違和感がありますよね。
これを乗り越えられたのは、会場を大きく見せるのではなく、Perfumeの3人をいかに拡張して見せられるか、そしてある瞬間だけにライトをキュッとしぼって当てて、“ポツン”と見せることで、3人だけでドームに立っているんだということを伝えようと思ったからです。だからこそ、3人を見つめる5万人がその事実に気がついた瞬間「わあっ」と感動する瞬間を生み出すことができた。そんな風に、“3人しかいないことを逆手に取ろう”と考えられるようになったことでだいぶ視野が広くなりました。どんな状況でも、見せ方はいろいろあるってことに気づけましたし。発想の転換と言いますか。
本番前に、通しで行う“ゲネプロ”というリハーサルがあって。アーティストは実際の衣装を着て、テクニカル面のリハーサルも本番さながらにする、お客さんがいない本番のようなものですね。このゲネプロをするとき、私は毎回「ああ、私は演出を間違った。この公演は大失敗だ」って思うんです。「これでもうやめよう」って、本当に毎回思うんですよ。でも、「お客さんが一番の舞台装置」とスタッフが言ってくれた言葉のとおり、シンプルに思えたステージもお客さんが会場に入ると全く違って見えて。舞台の一部であるお客さんなしには、公演は完成しないんです。