「M・ラミレス加入」独立リーグは野球界においてどんな存在になっていくのか。
四国アイランドリーグに入団をした世界的名選手と無名の芸人
■独立リーグに「夢」を見た男
「独立リーグとは夢をかなえる場所であり、諦める場所である」
プレーする多くの選手がNPBという日本野球最高の舞台で活躍することを「夢」見て日々鍛錬を積む。一方で、それがかなわないとわかったとき、その「夢」を諦めなければいけない――。
この言葉が意味するところは、それだけ厳しい世界、覚悟が必要な世界である、ということなのだが、角度を変えれば「独立リーグが夢の舞台」になることはない、ということでもある。実際、四国アイランドリーグでプレーしたある選手は「給料はもらえているけれど、ここがプロリーグだとは思わない。夢の場所ではない」と断言した。言葉を発した彼の目には強い覚悟があった。
そんな独立リーグ、四国アイランドリーグで、この舞台を「夢」と捉えた選手がいた。登録名・サブロク双亮。ハーフの外国人選手ではない。お笑いコンビ「360°モンキーズ(サブロクモンキーズ)」のひとり、杉浦双亮(そうすけ)だ。
杉浦は2015年の11月、四国アイランドリーグが主催する「トライアウトリーグ」に参加。一週間で体力テストと6試合をこなすハードな「トライアウト」に投手として合格し、2016シーズンを愛媛マンダリンパイレーツでプレーした。40歳の独立リーガーだった。
前期日程(四国アイランドリーグは前期日程、後期日程がわかれ各期優勝チームがチャンピオンシップに進み四国ナンバーワンを決める)、杉浦は思うような結果を出すことができない。ストレートの最速は123キロ。フォアボールを連発し、中継ぎもままならない。それでも、ひたむきに練習に励んだ。
転機がやってきたのは8月20日。真摯に練習に取り組む姿勢が評価され、先発投手に抜擢される。そして、見事のその期待に応え4回3分の2をノーヒット、無失点に抑える快投をみせたのだ。あとひとりで勝ち投手の権利を手にできたが、握力が限界を迎えての降板。それでも詰め掛けた2000人近いファンはベンチに向かう杉浦に大きな拍手を送った。
その後、杉浦は再度先発をし、今度は5回を無失点。見事、勝ち投手の権利を手にしてマウンドを後にするまで成長をした。そして、これがシーズン最後の登板となり、オフに引退を発表した。
杉浦は「独立リーグ」に夢を見た。
運営面やリーグ体制においてそれが簡単ではないことは十分承知の上で感じたことがある。今後の独立リーグを見渡したとき、杉浦のような選手が増えていくこともひとつの存在価値なのではないか。独立リーグそのものが「夢」になってもいいのではないか。
むろん、覚悟を持ってトップリーグを目指す選手たちの思いは尊重しなければいけない。ただ、一方で杉浦の挑戦は、何か新しい独立リーグの姿を想像させてくれるものだった。
さて、マニー・ラミレスはどんな思いでこの独立リーグにやってきたのだろうか。今からそのプレーが見られることが楽しみで仕方がない。
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