修身がアメリカを経由して逆輸入された?
『修身のススメ』④
ベネットは退任後、当時の知識を『The Book of Virtues(道徳読本)』というタイトルで出版します。そのオリジナルが修身の研究者である小池松次さん編著の『これが修身だ』なのだそうです。『The Book of Virtues(道徳読本)』は平成五年頃には三千万部を超えるベストセラーとなりました。今では「第二の聖書」とまで言われているそうです。
日本でも邦訳されて『魔法の糸|こころが豊かになる世界の寓話・説話・逸話100選』(実務教育出版・一九九七年)として出版されています。
お気づきでしょうか? 修身がアメリカを経由して逆輸入されると「こころが豊かになる世界の寓話・説話・逸話100選」というサブタイトルがついていることに。
この後、具体的に修身にはどのようなことが書かれていたのかを見ていきますが、このサブタイトルに示されているように、修身というのは、怖い本どころか、心が温まる本、心の琴線に触れるお話の本なのです。
子供はよいお話が好きである。古人の立派な道徳的行為、人物伝を必ず好む。そのときに感心してもすぐに忘れてしまうこともあるが、大人になってから、人生のある局面で蘇り、そのような行動を選択することもある。
「よいお話は繰り返される」(『国民の修身 高学年用』渡部昇一 産経新聞出版、二〇一三年)
『ママは愛国』より 明日は千葉麗子『修身のススメ』④です。
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