基本は定期預金ではなく普通預金を。出口治明氏流「預金のセオリー」
出口治明さん5月毎日更新 Q.7 財産三分法の一つ「預金」についてはどのように考えたらいいですか?
金利はアテにせず、基本は定期預金ではなく普通預金
財産三分法における「預金」は、毎月の給与の手取り分から、他の2つ「財布」と「投資」の金額を引いた分に当たります。
もちろん家賃や水道光熱費、携帯電話の料金などの固定費の引き落としにも使われますが、本来の目的は、「財布」の中身が減ってきたら補充すること、そして残った分を貯蓄に充てるということです。
つまり、必要なときにすぐに引き出せるという流動性の高さが求められる以上、定期預金ではなく、普通預金であることが基本です。
「今の日本の金融機関は金利がゼロに等しいですから、そのまま預金しておくのはもったいないですよ。将来のためにも、高金利の金融商品を買っておいたほうがいいんじゃないですか」
中には、このようにアドバイスしてくれる人や実際にセールスしてくる人がいるかもしれません。
ただ、この場合の「預金」は、金融機関に預けているとはいえ、金利をアテにしているわけではありません。あくまでも優先しなければいけないことは、流動性です。
だから、たとえば突発的なアクシデントが起きて、急にお金が必要になったとき、すぐさま引き出せるわけではない金融商品を選択する余地はないのです。
それに、仮に「預金」として入れておくべきお金で高金利の金融商品を買ったとして、将来、本当に殖えている保証はどこにもありません。
そうしたリスクを伴っても殖やしたいと考えた場合は、自分にとって“なくなってもいいお金”として捉えている「投資」のためのお金を回すようにしましょう。
これは、もともとなくなってもいいと割り切っているお金ですから、もし失敗したとしても後悔する必要はありません。逆に、リターンが生まれるのなら、自分にとっても、十分メリットがあるはずです。
以上が財産三分法における「預金」のセオリーです。
このセオリーさえ知っていれば、流動性重視の「預金」に手を出し、“なくなってもいいお金”である「投資」の範囲を超えてまで、ハイリスクの金融商品を買うことも、あるいは買わされることもなくなるのではないでしょうか。