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アフターコロナの雇用収縮は「普通の女性」にとって大問題

非エリート女性が「結婚」にも「最後の職業」にも頼れない有史初めての時代が来る


コロナ禍以後の世界は、仕事を持って生きる「普通の女性」たちにとって未曾有の事態を招くと予言するのが、著書『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』がロングセラーとなった著述家の藤森かよこ氏(福山市立大学名誉教授)。世の中の真実を暴き、生きる糧を説き続けている。アフターコロナの雇用収縮状況が日本人女性にどんな未来を与えようとしているのか、について緊急寄稿。女性のみならず男性も必読!


コロナ禍のなかで歓楽街は少しずつ人出を取り戻しつつあるが、都内での感染者数の高止まりや接待時の予防の煩わしさでお店の営業状況は改善していないようだ。派遣社員として働く女性たちがリストラされ夜の接待業の面接に来る女性は絶えないという。

■コロナ危機による対面型接触型サービス業の衰退

 2020年夏現在、私がまだ20年くらいは何とかなると思っていた「普通のその辺の女性の雇用」が消える未来が近くなってしまった。

 エリートではない普通の女性を雇用している職場は、日本の企業の9割以上を占める零細および中小企業が多い。2カ月以上にわたる休業要請や外出自粛などの経済活動の強制停止により、多くの零細小中企業は苦しい経営を強いられた。このようなことが繰り返されたら倒産必至だ。

 また、正規にせよ非正規にせよ、女性が比較的多く雇用されている職場は、対面型接触型サービス業が多い。観光業や宿泊業の従業員に小売店の店員や飲食店のホールスタッフに、航空会社のキャビンアテンダントに、歓楽系接待業だ。

 ウイルス感染拡大を防ぐには、人間と人間が接する機会を減らすしかないのだから、これらの職に従事する女性たちは休業や自宅待機を強いられた。

 歓楽系接待業のうち風俗産業従事者の雇用は、自粛期間の間はどうだったのだろうか。福岡市の中洲の風俗店街では、休業要請を受けても約100店舗のうち半数は営業した。理由は、「その日ぐらしの女の子を見捨てられない」だった。(西日本新聞「「その日暮らしの女の子、見捨てられない」半数営業…中洲の風俗店街」

 政府は、全国すべての業種の事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施した。2020年4月1日から6月30日の緊急対応期間中の休業手当に相当する額の5分の4を中小企業に、3分の2を大企業に支給した。解雇を行わない場合は、10分の9を中小企業に、4分の3を大企業に支給した。上限は8,330円。

 すでに緊急事態宣言は解除され、移動規制も外出自粛もなくなったが、ウイルス感染者が消えたわけではない。危機はずっと継続している。この危機には第二波も第三波もあるという予測も多い。

 ということは、世界は、いつウイルス危機が起きても対処できるようなシステムに変わるだろう。となると対面型接触型サービス業には、あまり未来はないということだ。世界は、人と人が直接会うことを回避する方向に進む。

 対面型接触型サービス業には学校や教育産業もあるが、この分野も女性の雇用が多い。おそらくこの分野も雇用が減る。

 今回のコロナ危機では学校も休校となり、オンライン授業やインターネット配信講義の導入が促進された。もともと、来るべきAI化ロボット化した社会に適応できるICT技術や知識を身につけた児童や生徒の育成をめざして、文部科学省は学校のオンライン化を促進する予定であったが、その計画は、これで一層に拍車がかかる。

 オンライン授業やインターネット配信講義ならば、ひとりの優秀な教師の授業を拡散すれば、それで済む。全国の学校の一教室に一教員を必要としない。そうなると、オンライン授業では不十分なひとりひとりの学習者の進捗状況に対応できる個人教授チューター(tutor)やカウンセラーなどの必要は増える。ここに雇用チャンスはあるかもしれない。セクハラとかパワハラしやすい男性よりは女性のほうがリスク回避として雇用されやすいかもしれない。しかし、この職種もいずれはアンドロイドに委ねられるかもしれない。

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。

 

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