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教員の長時間労働は、部活だけが原因ではない

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第2回

◆スケープゴートとしての部活

 あるところで「長時間労働の解消なら、部活より授業に休養日を設けてはどうだろうか」という記事を書いたら、「授業より部活を優先するとはケシカラン」とか「部活は授業科目ではないのだから、やらなくてもいい」といった意見をいただいた。この反応には、正直、驚いた。

写真:photolibrary

 まず断っておくが、「授業より部活を優先しろ」という趣旨の記事ではなかった。教員の長時間労働が注目されるなかで、「部活悪者論」のようなものが一気に巻き起こった。教員の長時間労働をとりあげるさいにマスコミも、必ずといっていいほど教員が部活のために割いている時間の長さを引き合いにだしてくる。それもあって、教員の長時間労働は部活だけが原因かのような雰囲気がつくりだされていった。

 そうしたなかで今年1月6日、文部科学省(文科省)は中学校の部活について休養日を設定するよう求める「通知」を、全国の教育委員会などに送った。これに各教委も敏感に反応し、たとえば川崎市教育委員会は5月、「1週間に少なくとも1日の休養日設定」を学校に求める方針を決めた。川崎市より早く方針を固めた教委も少なくなく、休養日をもうける学校が全国的に増えてきている。

 これで文科省も教委も長時間労働問題に対処したつもりになっているなら、とんでもないことだ。

 4月28日に文科省が公表した教員勤務実態調査で、マスコミが「10年間で倍になった」と騒ぎたてた中学教員が部活のために割いている時間とは、「土日の部活」でしかない。平日を見てみれば、10年前の34分から2016年度は41分と7分増えたにすぎない。

次のページ平日で勤務時間が増加している仕事は、部活ではなく……

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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