成果をあげる社長は社員の不満を力にする。2流の社長は話も聞かずに抑えつける
希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第2回
「会社のルール」を教えることが戦力化の第一歩
パートを戦力化できない理由のひとつは、「会社の方針・ルール」を教えていないからです。
パートも「知らないこと」「知らされていないこと」があると、不満を募らせます。パートが頑張れるのは、「方針やルールが明確になっている」ことが前提です。
私たちが野球を観て楽しめるのは、ルールがわかっているからです。
もし、基本的なルールや用語を知らなかったら、どうして得点が入ったのかがわかりません。ゲームが進んでいくのをただ眺めているだけで終わります。
ルールもスコアもわからない状態では、「頑張らないパート」がまともです。「0対0だから頑張るのか」「1対0で勝っているから頑張るのか」「0対1で負けているから頑張るのか」がはっきりしていなければ、頑張りようがありません。
ですが、会社の方針、業績、目標をきちんと説明すれば、パートは、会社にとって最大の協力者になります。女性(武蔵野の場合、パートの9割以上が女性、しかも主婦です)は男性よりも責任感が強く、「ルールを守りながら成果を上げる能力」に秀でているからです。
パートの文句は、向上心のあらわれ
パートが口にする文句には、「2種類」あります。
ひとつは「後ろ向きの文句」。もうひとつは、「会社を改善してほしい」の前向きな文句です。「後ろ向きの文句」を言う人は、文句を言われる立場を体験させると、文句を言わなくなります。
以前、内勤のパートのひとりが、「外回りの担当者は、サボってばかり」と文句を言うから、ダスキンのレンタル(配達)に「1日現場同行」をさせたことがあります。すると、お客様のところに走って配達するため、ヘトヘトになって、文句を言わなくなりました。
反対に、外回りの担当者が、「内勤の人は、いつもエアコンが効いているところで仕事ができて、うらやましい」と文句を言ったときは、コールセンターで1日中電話を取らせた。ひっきりなしにかかってくる電話の応対が終わったとき、「2度とゴメンだ」と前言撤回しました。
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