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【高知「地名」ケンミン性】河中→高智→高知! 験をかついで漢字を改める《47都道府県「地名の謎」》

【全国地名由来辞典】県や町の名前から郷土のドラマをひもとこう!_高知県

■水害を避ける願いが込められた名前

日本最後のローカル線として誕生した土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」。土佐湾沿いの風景も見物。

《高知県の由来》
験(げん)をかついで漢字を改める

 慶長5(1600)年に土佐国に入国し、初代藩主となった山内一豊は、河中山城を築城し、城下町を「河中(こうち)」と命名した。しかし、たびたび水害に悩まされたことから、二代藩主・忠義の時代になると、水害を想起させる「河中」という地名が改められることになった。その結果、「こうち」という呼び名はそのまま残し、当初は「高智」という漢字が当てられたが、その後「智」が「知」へと変化し、現在の「高知」という地名表記に至った。


《地名の由来》

◉馬路村(うまじむら):土地の特徴に由来か

 村の面積の96%が森林という自然豊かな村。当地の地名の由来は定かではないが、各地の「馬路」という地名から推察すると、「狭い土地」を意味する「せまじ」や「間地(まじ)」が転訛することで生まれたと考えられる。

◉後免(ごめん):諸役・諸税御免の町

 かつて荒地が広がっていたが、二代藩主・忠義の時代に開発された。この地に入植する者を募るため、土地を与え、諸役・諸税を免除したことから「諸役・諸税御免の町」ということで「後免」の地名が生まれるに至った。

◉奈半利(なはり):『土佐日記』にも登場

 『和名類聚抄』には「奈半郷」とある。紀貫之『土佐日記』には「なはのとまり」と記されており、これが簡略化された地名とみられる。「奈半」は沖縄の方言で「漁場」を意味する「ナバ」に由来すると推測される。

◉物部(ものべ):豪族が住み着いた地

 古代の大豪族として知られた「物部氏」の一族が住み着いたところから命名されたと考えられる地名。昭和31(1956)年物部村として誕生したが、平成18(2006)年からは香美市物部町となっている。

(2020年一個人5月号から

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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