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教員を縛り続ける「教職は安定していて待遇も良い」というイメージ

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第7回

 教員は自らの待遇改善に積極的ではないらしい。これだけ過重労働が問題になっているにもかかわらず、教員が校長や教育委員会に異議を申し立てて大騒ぎになっている、といった話はまったく聞こえてこない。
 個々の教員からは、「こんなことまでやっている」と超多忙な現状へのグチが次から次へとでてくる。それでいて、「拒否すればいいじゃないですか」と訊ねると、「それは・・・」と口が重くなった。

 8月25日、文部科学省(文科省)は2018年度予算の概算要求をまとめたが、公立小中学校の教職員定数については、実質800名の増員を求める内容でしかなかった。

 

 増員の理由を文科省は、2020年度から本格的に実施される学習指導要領では小学校で授業数が増えるほか、多忙化がすすむ学級担任の負担を減らすため、と説明しているらしい。
 しかし文科省の「学校基本調査」によれば、2017年における公立小学校の数は19794校、中学校で90479校、合わせて29273校となっている。そこに800名増員しても、1校に1人も増やせない計算だ。多忙解消の予算措置という文科省の説明は、白々しいことこのうえない。
 予算措置で自分たちは努力していると文科省はみせたいのだろうが、教員に負担を強いる構造は何も変わらないのだ。

 そんなことは、教員もわかっているはずである。にもかかわらず、教員からの怒りの声は聞こえてこない。胸の内では怒りに燃えているのかもしれないが、表にはでてこない。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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