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議論のできない教師たちが繰り広げる、不毛な職員会議

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第4回

2020年教育改革の目玉とされている「アクティブ・ラーニング」。従来の詰め込み式教育をやめて、生徒による主体的な学習へと転換させるものだが、はたして効果はあるのだろうか。2017年10月に『教育改革の9割は間違い』を上梓する諏訪哲二氏に聞いた。 

◆議論ができない教師たち

 アクティブ・ラーニングは、議論や討論を中心にした授業形態だという。

 ところで、私は2001年まで37年間高校教師をしており、同じ長さだけ職員会議という名称の教師の会議に参加してきた。現在はどうなっているかわからないが、おそらく当時は現在より教職員組合の力が強く、職員会議は実質的に決定機関に近かった。近かったというのは、校長が性根をすえてノー(否)といったらどうなったかわからないからである。

 そういう権限を実際に持っていた職員会議で、私は「議論」や「討論」が成立するのを見たことがない。「議論」らしきものはあっても、それは自分の意見を述べ、相手の意見を聞き、お互いに認識を深めながらより良い、より高い結論の一致を目指すようなものではなかった。

 だいたい、相手のフィールドと自分のフィールドとがずれていることにさえ気づかないのがふつうであった。

 自己や自分たちの仲間グループ(組合派と非組合派とか、実務派と適当派など)の利益を守るようなことしかいわなかった。意見のいい合いをして、どちらかが説得されたなどという場面も見たことがない。グループが固定されていて、票数はいつも変わらなかった。

 相手の反論を受けて、さらにその論理を上まわるような説得力のある意見が出てくることもなく、同じレベルの自己主張が繰り返されて会議は回るのである。

次のページ教師は審判役である

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諏訪 哲二

すわ てつじ

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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  • 2017.10.10