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「アンケート調査の徹底」では、いじめはなくならない

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第10回

◆いじめの件数が増えたのは、その範疇を広げたから?

 学校での「いじめ」が最悪の状況となっている。10月26日に文部科学省(文科省)が公表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2016年度、速報値)によれば、学校でのいじめは3年連続で増加し、小学校と中学校の合計で初めて30万件を超えた。

 小学校では前年度比で56.8%増にもなる23万7921件、中学校では同19.8%増となる7万1309件にものぼったという。この状況について文科省は、「これまで対象から外していたけんかやふざけ合いのうち、心身の苦痛を感じるような一方的な暴力行為を伴うものを今回からいじめに含めたことが大幅増の要因」(『毎日新聞』電子版10月26日)と説明しているようだ。

 いじめの範疇を広げただけなので「問題はない」、と説明しているように聞こえる。しかし、そんなことはない。

「いじめ防止対策推進法」に定めている「重大事態」だけでも、前年度比で86件も増えて400件に達しているのだ。いじめ防止推進対策法は2013年に公布されているが、対策のために法律までつくったにもかかわらず、いじめ防止の対策は、まったく効果を発揮していないということになる。いじめ件数が急増しているのは、範疇を広げているからだけではなく、明らかに実態として増えているのだ。

 
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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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