アジア独立で活躍した日本軍インテリジェンス・チーム
「インテリジェンス・ヒストリー」は日本では未成熟 シリーズ!日本人のためのインテリジェンス・ヒストリー⑧
安倍首相も、祖父の岸首相や父の安倍晋太郎外務大臣からこうした「裏話」を聞いていたはずです。ただし、残念ながら「対外インテリジェンス機関の創設」は思ったほど進展していません。それは安倍政権がやる気がないということではなく、インテリジェンスの専門家が不足しているからです。
その背景には、インテリジェンスの基礎、つまり「インテリジェンス・ヒストリー」という学問が日本では十分に確立されていないという側面があると思っています。
私もこれまで外国の情報将校(インテリジェンス・オフィサー)たちと付き合ったことがありますが、スターリンの秘密工作や、現在の米中関係の基礎となっているアメリカのニクソン・キッシンジャーと中国共産党の毛沢東・周恩来との交渉の歴史などを知らないままでは、外国のインテリジェンスの専門家たちとまともに議論することも出来ないからです。
このような現状に対する危機感から、スターリンによる秘密工作に焦点をあてたアメリカの反共保守派の「インテリジェンス・ヒストリー」を紹介しようと思ったのです。『日本は誰と戦ったのか』を読めば、国際政治、戦争というものは軍事や外交だけでなく、インテリジェンスの戦いでもあることがおわかりいただけるかと思います。
特にロシアとの懸案事項である北方領土問題などは、戦時中のスターリンの対米秘密工作を知ることなしには解決できないことが理解できるはずです。『日本は誰と戦ったのか』を一つのたたき台にして、「インテリジェンス・ヒストリー」に対する関心がわが国でも高まっていくことを心より期待しています。
(『日本は誰と戦ったのか』より構成)
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