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カカオ栽培からこだわったボンボンショコラ

PNG(パプアニューギニア)マヌス島のカカオ 第9回

銀座「エスキス」のシェフ・パティシエである成田一世が、収穫からサロン・ド・ショコラ出展までチョコレート作りの全行程をレポートする連載です!

チョコレート完成!

 ボンボン・ショコラの要は、中身のガナッシュだ。チョコレートの油脂分に水分を加えて乳化させることで、チョコレートの味や香りが花開く。
 乳化させる水分には、生クリームや牛乳、フルーツのピュレなど無限のバリエーションがあるが、単純に素材をチョコレートに混ぜただけでは素材は生きてこない。どのような素材をどのように組み合わせると、イメージした香りや味わいが表現できるか、パティシエとして様々な食材と対峙してきた知識と経験、知恵の生かしどころだ。

 たとえば、今年は日本の素材を使用する「JAPON」というテーマで The vert、Kaki、Tofu、Sakeの4種類を作った。
 抹茶は、香りが命。The vertは生クリームで口どけをよくすることで抹茶の香りが口中に広がるようにし、さらにチョコレートの苦味が抹茶のほろ苦さを消さないよう調整した。
 Kakiはヨーロッパのドライフルーツに似た凝縮感があってチョコレートと相性が良い干し柿をペースト状にして、日本の果物である柚子の果汁を加え、カカオバターでまとめた。
 Tofuは、しっかり水切りしてペースト状にした豆腐に大豆を煎ったきな粉を加え、大豆の2種類の美味しさを表現。
 Sakeは、蔵で寝かした貴醸酒をなめらかなガナッシュに加えることで、口に入れた瞬間に日本酒の芳醇な香りが立つように工夫した。

 こうして、今年の12種類のボンボン・ショコラが出来上がった。

完成したチョコレート「JAPON」

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成田 一世

なりた かずとし

銀座「エスキス」シェフ・パティシエ。「ピエール・エルメ・パリ」「ジョエル・ロブション」などで腕を磨き’12年に帰国。現在に至る。’17年「ASIA'S BEST 50 RESTAURANTS2017」にて「Asia's Best Pastry Chef」受賞。


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