カカオ作りから始まったチョコレート作り、いよいよ世界最大のチョコの祭典「サロン・デュ・ショコラ」へ
PNG(パプアニューギニア)マヌス島のカカオ 第10回
銀座「エスキス」のシェフ・パティシエである成田一世が、収穫からサロン・ド・ショコラ出展までチョコレート作りの全行程をレポートする連載です!
“サロン・デュ・ショコラ”に出展!
パリで毎年秋に開催される「サロン・デュ・ショコラ」は世界最大のチョコレートの祭典だ。
出展者は700にも及び、200を超えるショコラティエやパティシエが世界中から集まる。年を追うごとに演出は派手になり、若者受けするイベントになりつつあるように感じられる。高級チョコレートもあるがスーパーで買えるような大手メーカーの商品もあるという雑多な印象で、入場者が子供から大人まで試食品を求めて歩き回る様子は「サロン」という雰囲気には程遠い。フランス
中のMOF(国家最優秀職人章)が集まる日本の「サロン・ド・ショコラ」と違い、パリ市内にブティックのある有名店はわざわざ出展をしないイベントなのである。
とはいえ、一週間、チョコレートラヴァーと呼ばれる人々が集まり、その好みや流行りの傾向をリサーチ出来るのは貴重だ。今年は、3セットのボンボン・ショコラ(チョコレートの味や香りをシンプルに味わえ「ESqUISSE」、香りに焦点をあてた「ARÔME」、そして抹茶や柿など日本らしい食材に独自のアプローチをした「JAPON」)と山椒を効かせたオランジェット(オレンジピールをチョコレートでコーティングしたもの)を持ち込んだが、すべて売り切れた。
フランス人にもわかりやすいオランジェットが一番人気だったが、ボンボン・ショコラの中では「JAPON」がダントツ。味覚の記憶の中で、日本を想像したときに豆腐や抹茶、柚子などを”美味しい”とセンサーが判断するのかもしれない。狙った客層にヒットしているといった感覚まではなかったが、あ
る程度のマーケットには受け入れられる可能性は感じられた。