クビか移籍か。契約から見る鹿島が「ファミリー」たるゆえん【岩政大樹の現役目線】
鹿島アントラーズはなぜ巨大戦力ではないのか
■岩政大樹「現役目線」第33回
■契約にまつわる改善点
移籍市場が落ち着き、どのチームもJリーグの開幕に向けて準備を進めています。今年は印象的な移籍が続き、新シーズンの動向がとても楽しみになりました。
プロの世界は契約によって縛られ、選手をしていれば移籍はずっと頭のどこかについて回るものです。僕もワールドカップやアジアカップを終えた2011年あたりからは毎年のように移籍の選択肢を心のどこかに持ちあわせながらシーズンを過ごしていました。
日本では昔からの名残で「クビ」だとか「戦力外通告」だとかいう言葉が根強く残っていますが、サッカーの世界ではそもそも契約が切れる半年前から自由にどのチームとも次年の契約を結べることになっているので、実際には選手たちはシーズン中からあらゆる選択肢を探っています。
探るといっても、その仕事は仲介人(代理人)と呼ばれる人に任せているので、僕の場合はそれによって「今」や「今のチーム」に集中できなくなるようなことは一切ありませんでした。むしろ未来を見据えると「今やるべきこと」が明確になるので、「今しかできないこと」に集中できる感覚を持っていました。
そういう制度であるにも関わらず、日本のクラブの場合、色々な事情のもとでシーズンを終了した直後に、一斉に契約の通知をするクラブが多く、それを契機としてクラブやメディアが「今シーズン限りで契約を終了します」といった発表をするので、未だに「クビ」という印象で語られることが多いのが実情です。
しかし、僕は契約とはそもそもがクラブと選手の双方の合意で成り立つものであるのだから、もちろんクラブ側から(契約を)打ち切る場合もあれば、選手がそれを拒む場合もあるわけで、どこか一方的な印象を残す今のやり方はもう少し改善すべきではないかと感じています。実際、いくつかのクラブはそう変わってきています。
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