コロナで暴かれた「誰も責任もリーダーシップも取りたがらない国、日本」
小説家・黒野伸一が見たコロナ禍日本の「真の姿」
■コロナ対策として見習うべきは、中国型か、それともニュージーランド・台湾型か?
徹底封じ込めで成功した筆頭は、何と言っても感染源である中国だろう。こういう時、全体主義、権威主義国家というのは強い。当初は反発していた人民も、結果よければすべてよしということのようで、国家の政策は間違いではなかったと認めているらしい。
次に挙げられるのは、ニュージーランドと台湾。どちらも女性の元首(総統)がいる国(地方)である。二国の感染者数は他国に比べ圧倒的に少ない。
これらの国とは対照的に、失敗をしている筆頭がアメリカ。そしてブラジルだ。どちらの国も、クセのある大統領がいる(いた)ことで知られている。トランプ前大統領も、ボルソナロ大統領も「コロナなどただの風邪。恐るるに足りず」という姿勢を取り続けた結果、国が大変な事態に陥ってしまった。二人ともコロナに罹患しても、回復した点はあっぱれと思うが、全員が彼らのように高度医療を受けられるわけではない。現にアメリカの死者数は54万人を超え、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争での死者数合計を上回ったらしい。にもかかわらずトランプは昨年秋の大統領選で、共和党史上最多となる7400万票を獲得したというのだから、訳がわからない。こうなるともう宗教だ。トランプ支持者の中には福音派が多いというのも、うなずける。
それはさておき、翻ってわが国はどうかといえば、国民を恐怖で抑え込む絶対指導者や、根拠のない楽観論を唱え、感染蔓延を野放しにした放言指導者がいないかわりに、無為無策の状態がかれこれ1年以上も続いている。日本人の感染者が少ない要因は「ファクターX」などと呼ばれ、遺伝子的背景や免疫学的特性があるのではないかと言われてきたが、実態は未だ解明されていない。もし日本人にファクターXがなかったら、今の政府の体たらくでは、アメリカに匹敵するか、それ以上の被害が起きていたかもしれぬと思うと、背筋が寒くなる。
コロナ対策として見習うべきは、中国型なのか、それともニュージーランド・台湾型なのか? 答えは言うまでもなく、誰も戦前のような全体主義・独裁国家は望んでいないだろうから、後者ということになる。