米軍機の猛攻にさらさる戦艦武蔵、シブヤン海に沈没
レイテ沖海戦と栗田健男中将 第5回
28日午前5時30分、パラワン島の西を北上していた栗田艦隊の旗艦「愛宕」は全軍に対し、敵潜水艦に注意するように警告した。艦隊は蛇行する之(の)字(じ)運動で航行した。が、1時間後、「愛宕」は魚雷を浴びて大破した。沈没前、栗田は駆逐艦「岸波」に移乗し、午後、戦艦「大和」に将旗を掲げた。この日の魚雷攻撃で「麻耶」も沈没、「高雄」は大破しブルネイへ引き返した。栗田艦隊は早々と重巡3隻を失い、出鼻をくじかれた。
24日朝、栗田艦隊はミンドロ島の南を回ってシブヤン海に入った。ハルゼー率いる第3艦隊はフィリピンの東方海上に集結していたが、午前8時過ぎ、索敵機から通報を受けると、ハルゼーは直ちに攻撃を命じた。機動部隊からは252機の攻撃機が5派に分かれて発進した。攻撃は午前10時25分から午後3時30分まで断続的に行われ、栗田艦隊は対空砲火で応戦したが、ほとんどの艦艇が被弾、このままでは全滅しかねない状態になった。敵機は手負いの「武蔵」に狙いを定め、雷撃、爆撃を集中。「武蔵」は午後7時30分ごろ、シブヤン海に沈没する(シブヤン海戦)。