カバーを外して、変身!? 一足でふたつの顔を持つ16代目AJ【エアジョーダン秘史(16)】
1985年の1stモデルから今なお続くレジェンドバッシュのヒストリー。
第16回は、2000年発売の「AIR JORDAN 16」。
過激な前作とはうって変わり、AJ16は比較的オーソドックスなデザインでまとめられている。このモデルは「時代をリードしてきた」歴代AJのデザインエッセンスを各地に使っているのが特徴で、AJとしては初めて当初からオフコートでの使用を想定している。
過去のデザインソールを融合し
AJのヘリテージを物語る16代目
カバーの脱着で、オンとオフを切り替える
AJ16のデザインのテーマは「トランジョン」。この言葉には「変遷」や「過渡期」といった意味があるが、このモデルの各部には歴代AJの特徴的な仕様が見られる。
たとえば、ミッドカットはそれを最初に採用したAJ3へのオマージュ。さらに、アッパーのメッシュはAJ5、エナメルレザー製のつま先はAJ11といった具合に、多くの人に愛されたAJのディテールをひとつに集約しているのだ。さらに、AJ6以来となるビジブルエアの復活も、そうした過去へのオマージュからのものだと言える。
また、アッパーのカバーは、脱着することでシューズをオフコート用からオンコート用へと「変身」させる狙いがある。しかし、主を失っていた時期だからなのか23のナンバリングは、このAJ16には使われていない。なお、このモデルが発売された頃、MJはワシントン・ウィザーズのオーナーとなっており、'01年には2度目の現役復帰を果たす。
機能よりもむしろ「見た目重視」のデザインを特徴とする
これまでのモデルと比べると、テクノロジー面での大きな進化は見られない。ビジブルエアは、フォアフットのズームエアとヒールエアを組み合わせたもの。また、カバーを外すと、メッシュ製のアッパーが現れるが、これがシューズ全体の軽量化に貢献している。会うとソールは一部がクリア仕様になっているが、これも過去のモデルへのオマージュから採用したものだと思われる。全体的にシンプルな分、履きやすいモデルだと言えるだろう。
その後、カバーのないローカットも発売された
もっともAJらしい「ブルズ」をファーストカラーに。ウィートバッグを使って、よりストリートで履きやすくしたモデルもラインナップされた。続いて登場したローカットは、カバーを廃すことで幾分すっきりとした印象に。折り返した履き口部分にジャンプマンロゴを入れて、デザイン上のアクセントにしている。
*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)