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がんに認知症…まじめすぎる人は、健康でもソンをする!

「ストレス」が招く病気とその発散方法

■糖尿病があると認知症になりやすい!?

 一方、認知症はと言えば、一見、ストレスとは関係なさそうですよね。ところが、ストレスから認知症になる人もいくらでもいるのです。

 認知症のベースには、多くの場合、多少の差はあれ糖尿病があります。どういうことかと言うと、糖尿病を患っている人は将来的に認知症になりやすい。糖尿病があると認知症になるリスクが2倍に増えるという日本の研究もあります。

 そもそも糖尿病はストレスと関係が深いのです。つらいことがあったとき、どうやって紛らわせますか?おいしいものを食べる、甘いものを食べる、お酒を飲むという人は多いのではないでしょうか。食べすぎ、飲みすぎが続くと、糖尿病を引き起こしやすくなります。つまり、ストレスがあると糖尿病を引き起こす生活になりやすいということです。

 また、もっと直接的な関係もあります。

 

 ストレスを受けたときに人の体はさまざまなストレス反応を示すと、先ほど書きました。そのひとつがストレスホルモンの分泌ですが、ストレスホルモンの一つである「コルチゾール」には、血糖値を上げる働きがあります。ストレスがあるとコルチゾールが分泌されて、血糖値を上げてしまうのです。

 このように、直接的にも間接的にもストレスは糖尿病の原因になります。そして、 糖尿病になりやすいということは、認知症にもなりやすいということとイコールです。 

 胃潰瘍にしても十二指腸潰瘍にしても、あるいはがん、認知症、糖尿病にしてもベースにはストレスの存在があります。ところが、これらの治療でおおもとのストレスに目が向けられることはほとんどありません。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は消化管の病気だと思われていますし、がんの予防で言われ るのは「がん検診を受けましょう」ばかり。糖尿病では血糖値にばかり目がいきがちで、認知症ではすぐに「薬を飲みましょう」という話になります。 

 本来は、ストレスからいかに解放させてあげるかが医療の基本であり、ストレスと どう付き合うかが病気の予防でいちばん大事なポイントなのです。

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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