社内不倫生活から逃れるために婚活する「元女優」と出会う【石神賢介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

社内不倫生活から逃れるために婚活する「元女優」と出会う【石神賢介】

「57歳で婚活したらすごかった」世にも奇妙な婚活体験記②【石神賢介】

 

■社内不倫生活を逃れるための婚活

 

 パーティーの後はマイさんと食事をした。会場から徒歩圏のニューヨークテイストのカフェレストランだ。

「マイちゃんさあ、プロフィールには婚歴なしって書いたけど、ほんとうは2回結婚してるんだ」

 肉の盛り合わせを頬張りながら打ち明けられた。一人称は〝私〟ではなく〝マイちゃん〟。パーティーのときとはまったく違う口調だ。こちらが素なのだろう。

 バツイチは気にならない。人と人には相性があり、人生に失敗はつきものだ。そもそも自分もバツイチだ。しかし、バツニはちょっと警戒する。パートナーとの相性ではない何か問題があるのかもしれない。1度目の失敗で学習していない可能性もある。

 マイさんは20代のころに所属していた劇団内の恋愛で心を病み、アメリカ西海岸へ渡り、そこで出会った日本人男性と結婚。しかし、1年で別れた。その2年後に帰国し、勤めた会社で社内恋愛をして結婚。また1年で別れた。離婚の理由は、本人によると、2度とも相手の束縛がきつかったからだという。妻がきれいだと、夫は不安で束縛したくなるのかもしれない。

「今、付き合っている人もいるんだ、一応」

 そんなことも打ち明けられた。

 あなたと違って私には交際相手はいると明言して、対等ではないことを主張しているのかもしれない。マウントポジションを確保したいのだ。

「じゃあ、なんで婚活パーティーに参加したの?」

 素朴な疑問を投じる。

「今の彼とは別れたいの」

 交際している相手は、自分が受付をしている会社の40代の役員だという。2年前に付き合い始めた。マイさんは本気の恋愛だった。

 デートは1週間に1度のペース。終業後、彼女は会社の近くにあるチェーン系ビジネスホテルにチェックインする。部屋で待っていると彼が現れて、2時間ほど愛をむさぼる。忙しい彼は会社に戻り、彼女はホテル内の大風呂を楽しんで帰宅する。

 ところが半年前、彼がいつの間にか結婚していたことを知った。相手は同じ会社の20代の社員だという。女性のお腹にはすでに子どももいた。ふつうの恋愛だと思っていたら、知らないうちに愛人に降格になっていたのだ。半年前からLINEの頻度が減り、その後受付の同僚から結婚したことを聞いたそうだ。本人に確認したら、あっさりと結婚を認め、「気にするな」と言われた。

 週に1度2時間の平日デート、食事はなし、セックスのみ、リーズナブルなビジネスホテル、週末デートはなし……。不自然なことはいくつもあったはずだ。

「怪しいとは思わなかったの?」

 ごく一般的な質問だ。

「彼が忙しいからだと思ってた」

 その後も週に1度の交際は続いているという。

 

次のページ既婚者になった彼といまだに会っている理由

KEYWORDS:

※カバー画像をクリックするとAmazonサイトにジャンプします

オススメ記事

石神賢介

いしがみ けんすけ

ライター

婚活ジャーナリスト

1962年生まれ、東京出身。婚活アプリ、婚活パーティー、結婚相談所、婚活バスツアー、座禅婚活など、約30年にわたり、あらゆる婚活にトライ。食事やお茶などをともにした女性は300人を超える。女性にブランド品を買わされても、「ジジイ!」と罵られてもめげず、会社員、女優、モデル、銀座のホステス、ドクターなどと交際。しかし、結婚にいたっていない。著書に『57歳で婚活したら すごかった』『婚活したら すごかった』(以上、新潮新書)、『すべての婚活やってみました』(小学館新書)、『アラフィフ婚活』(飛鳥新社)、『なぜ「スマ婚」はヒットしたのか 誰もが挙式できる世の中に』(幻冬舎)がある。

星海社新書

石神賢介著  最新刊 2023719日発売

婚活中毒

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

57歳で婚活したらすごかった (新潮新書)
57歳で婚活したらすごかった (新潮新書)
  • 石神 賢介
  • 2021.05.17
婚活したらすごかった (新潮新書 430)
婚活したらすごかった (新潮新書 430)
  • 石神 賢介
  • 2011.08.20
馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください
馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください
  • 藤森 かよこ
  • 2019.11.27