AKBに乃木坂、ももクロも。アイドルの体重公開は究極のエンタメだ【宝泉薫】
■華原朋美がアイドル時代は43キロだったと告白
これとは別に、過去を振り返るなかで公開されることもある。尾形春水や榊美優、あるいは広末涼子などのケースがそうだ。また最近、テレビでふたりの元アイドルが自身の体重変化に言及。奇しくも同じ11月11日のことだった。
まず「ダウンタウンDXDX」(日本テレビ系)で華原朋美がアイドル時代は43キロだったと明かし、現在は70キロまで幸せ太り(?)したと告白。その直後「アウト×デラックス」(フジテレビ系)で加護亜依が辻希美と「W(ダブルユー)」を組んでいた頃、63キロまで太ったと語った。それが未成年喫煙による謹慎期間には37キロまで減ったという。
何十年も前の体重を今さら知らされてもという感もなくはないものの、当時の姿に重ね合わせるといろいろ興味深い。具体的な数字はやはり、関心を高めるのだ。なぜかといえば、女性芸能人、特にアイドルの体重はエンタメ情報のひとつだからだろう。
それゆえ、昔はプロフィールにも明記されていた。スリーサイズもまたしかり。いわゆるタレント名鑑的な本にも、生年月日や出身地とともに必ず掲載されていたものだ。
筆者はもっぱら、瘦せ型のほうに興味があるので、浅丘ルリ子の35キロとか、松本伊代の38キロ・バスト72センチといった数字に萌えた。浅丘などはテレビや雑誌でも「いちばん太っていたときで40キロ」というパワーフレーズを自ら繰り返していたし、メディアでは高見山や小錦のような巨漢力士の重さを強調するために「浅丘ルリ子○人分」のような単位としても使われていたほどである。
一方、ぽっちゃり型のあるある的なエピソードも微笑ましい。ウエストを細めに公表しすぎていたため、その数字を信じたスタイリストが用意した衣裳が入らず、撮影現場で困った、などというものだ。
しかし、平成に変わったあたりから、公表される体型データは身長だけになっていった。そこにはさまざまな事情がありそうだが、そのひとつが、外見より中身が大事という誤解だ。体重やスリーサイズは、外見を表す指標のひとつなので、要らないというわけだ。
ただ、芸能人の場合、外見が大事なのはいうまでもない。にもかかわらず、そこに関連した情報を出さないのは、ファンの愉しみを奪い、芸能の面白さを減らすことになる。
その背景には、ポリコレの悪しき影響もあるのだろう。ポリコレは「政治的正しさ」と訳されるが、芸能的にはまったくもって正しくない。いや、政治的にもかなり間違っていて、世の中を息苦しくつまらなくしている。
そもそも、体型データを隠そうとすること自体、逆にとらわれ過大視している証拠なのではないか。その人間を形成するほんのひとつの要素にすぎないのに、体重やスリーサイズだけで魅力が決まると思い込んでいるのだろう。