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秀吉の聚楽パレード

季節と時節でつづる戦国おりおり 第258回

 リオのオリンピック・パラリンピックメダリストたちの東京パレード、テレビで見ました。皆さん晴れやかで誇らしげで、それでいてどこか恥ずかしそうで、なんとも良い雰囲気でしたね。

現在の聚楽第跡。

 さて、パレードつながりのネタを。今から429年前の天正15年9月13日(現在の暦で1587年10月14日)、京に完成した聚楽第に、秀吉とその家族が大坂城から移徙(わたまし。移転)。

 宣教師フロイスは聚楽第完成に際し、
「街路が整然としている事やその美しさ、また屋敷の新鮮さ、清潔さという点では(ヨーロッパの街よりも)聚楽町の方が優れている」
 と賞賛したが、金箔瓦で彩られ、まさにこの世の極楽のような新城と大名屋敷の町はおよそ一年半あまりの工期で竣工した。待ちかねた秀吉が乗り込んだのがこの日。

『多聞院日記』には、
「今日御移徙」「諸方事々しき音信・御礼・造作」「諸人群集」
 とあり、まさにこの引越しは大パレードだった。『言経卿記』には秀吉の母・大政所の輿15・乗り物6、騎馬4、正室・北政所の輿100、乗り物200、長櫃無数、騎馬18ほか行列は空前の規模で、供奉する者たちは赤い装束。「美麗目を驚かす」 と装具・貨物も含めて豪華絢爛だったようだ。

 このパレードの成功に味をしめた秀吉、翌天正16年(1588)と天正20年(文禄元年、1592)の2回にわたり後陽成天皇の行幸をあおいで更に華麗壮大なパレードを開催し人々の度肝を抜いている。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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