W杯アジア最終予選。日本代表にとって「結果と内容が一致していない試合」ではなかった【岩政大樹の現役目線】
タイ代表の善戦が光ったのか、日本代表が悪かったのか。それとも……?
流れのいい時間があったチームが勝てないワケ
特に、ラインを高くできて、ボールをキープできて、相手を押し込むことができているときはそのことを肝に銘じなければなりません。そこに落とし穴が潜んでいます。
得点の可能性はそれほど変わっていないのに、なんとなく相手を上回っている気になり、注意を怠ってしまうと、サッカーでは必ず痛いしっぺ返しを食らいます。車の運転のように、「大丈夫だろう」と思った矢先に危険な場面が生まれてしまうのです。
試合の翌日、僕はタイ代表の元チームメイトたちに会ってきました。いい顔をしていました。彼らは最終予選を通じていい経験をしていると思います。これまで経験したことのないアジアのトップレベルを経験し、そして壁にぶち当たっています。若い選手たちのチームです。これを教訓にまたサッカーへの理解を深めていってほしいと思います。
実は日本が戦っているこの最終予選のグループはどの試合も同じような展開を見せています。日本、サウジアラビア、オーストラリアの三つ巴の様相を呈してきましたが、実はこの3チームとも相手を圧倒した試合はほとんどありません。むしろ、試合全体を見れば、UAEやイラク、そして今回のタイのように、勝ち点を取れていないチームの方がより「流れ」のいい時間帯を作れている印象があります。
しかし、結果は違います。
日本が世界のトップレベルと対戦したときは逆に、今回のタイのように善戦しても勝ち切られてしまう試合をよく目にします。それをレベルの差と言ってしまえばそれまでですが、長い歴史をもつ強豪国との間に、「流れ」の捉え方にも差があると感じるのは考えすぎでしょうか。