”比類なき宣材式の探究”
世界的アーティスト2名による革新的なコラボレーション
DIESEL ART GALLERYで5月26日より繰り広げられる、個展「NO JOKE」
21世紀を代表するふたりのアーティストによる
革新的なコラボレーション作品が東京・渋谷にてお披露目
DIESEL ART GALLERYでは、5月26日(金)から8月17日(木)まで、ロジャー・バレンとアスガー・カールセンによる個展「NO JOKE」が開催される。
本展では、21世紀で最も重要な写真作家の一人に数えられる南アフリカ在住
の写真家ロジャー・バレンと、デジタル加工による前代未聞の人体フォトコラージュ作品で世界的な話題を呼ぶニューヨーク在住の写真家アスガー・カール
センの二人が、海とタイムゾーンを越えて芸術的なピンポンを繰り広げたことによって産声を上げた革新的なコラボレーション作品がお披露目。
両アーティストによる制作の核に根ざすのは、潜在意識への関心、そして典型
的なアウトサイダーや不可思議なものが創り出す複雑な世界の比類無き探求
です。二人はコラボレーションを通じ、それぞれが自身の心と身体の関係性を
追求していきました。こうした視点は、「置き換え」(適応機制のひとつ。
欲求を、本来のものとは別の対象に置き換えることで満たそうとすること)や居場所のない気持ち、先天的に持ち合わせた断絶感によって形成されていることに加え、彼らの美術的観点を写真表現で構築し伝えることへの飽くなき欲求に基づいている。
写真家、ロジャー・バレンは1950年にニューヨークで生まれ、現在はヨハネスブルク在住。片やアスガー・カールセンは1973年にコペンハーゲンに程近いフレデリックスベルで生まれ、現在はニューヨーク在住。自称アウトサイダーの二人は2013年、互いに離れた場所からのコラボレーションを確立させた。
二人はひとつのコンセプトに基づき、電子メールとスカイプのみで画像ファイルを頻繁に交換。この画像交換は数年に渡って続いていくことになる。高度なデジタル加工やアナログな切り貼り作業、はたまたドローイングが描き足されることが幾度も積み重なった結果、この得体の知れないコラージュ作品は産声を上げることになった。
本作の中で起用されるモチーフは、写真を彫刻の様に操ったもの、互いに置き換えられた二人の顔、本来あるべきではない場所に置き換えられた身体部位、不可思議に占領された空間、切り取られコラージュされた手描きのマスクやグラフィティのほか、蜘蛛や動物たち、天使や悪魔などなど。これらは全て二人のイメージストックから選び抜かれたものであり、それらはまるで仮想のシェアスタジオの中で、あるいは架空の物語が紐解かれる夢仕掛けの中で組み立て
られるかのようだ。
このコラボレーションは、シュルレアリスムにおける作法「優美な死骸」(シュルレアリスムにおける共同制作手法。複数のアーティストが制作に関わりながらも、他のアーティストがどのようなものを制作しているかを知らずに自身のパートを制作するというもの。仏語「le cadavre exquis」)に似ていながらも、さらに意図的に構築されたものであり、各々の才能はさらに切り開かれ、作品をより豊かにさせることを実現させた。
これが意味するのは、本質的にオリジナルなものを作るための理想的な土台造りに成功したということであり、そしてその産物は我々が期待していた通り、実に奇妙で、不安にさせるものに仕上がっている。
Office Magazineのインタビューに対して二人は次のように答えている。
「言葉で定義できるアイデアとは、取るに足らないもの。そんなものは梱包してスーパーマーケットに並べればいい。しかし定義できないアートは、意識下に力強く訴えかける。それをどう捉えればいいかも解らず、我々の潜在意識は何度も、何度も、何度もひっくり返すことから、なんらかの関係性を見出そうとするだろう。つまり作品には、つかみどころのない側面が備わるべきなのだ。そうでもなければ、それはなんのインパクトも持たないということを意味する」̶̶。
本展は2016年にドイツのDITTRICH & SCHLECHTRIEMとデンマークのV1 Galleryにて同時発表された。そして世界最大の写真展覧会「ParisPhoto 2016」での発表を経て、この度DIESEL ART GALLERYでの日本初公開を迎える。
本展では全37作品から厳選された25点を展示。
会場では展示作品のほか、関連書籍や関連グッズを販売する。
DIESEL ART GALLERY
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F
電話番号: 03-6427-5955
開館時間: 11:30-21:00
入場料 : 無料
休館日: 不定休
キュレーター: トモ・コスガ(PLAY TANK)
www.diesel.co.jp/art
■Artist Profile
Roger Ballen(ロジャー・バレン)
写真家。1950年、米・ニューヨーク市生まれ。南アフリカ在住。21世紀で最も重要な写真作家の一人。30年以上にわたって南アフリカに在住し、現地
を活動の基盤にしている。バレンの独特なスタイルの写真作品はシンプルなスクウェア・フォーマットと美しいブラック&ホワイトを採用しながら進化
を遂げてきた。近年のシリーズでは、絵画やコラージュ、彫刻技術を駆使して精巧な作品を生み出している。こうした作品で新たなハイブリッド美学
を発明したバレンではあるが、今なお写真撮影に深く根差しているのは確かだ。2012年、南アフリカはケープタウンで結成されたレイヴ/ヒップ
ホップ・グループ、Die Antwoordのミュージックビデオ「I Fink U Freeky」の監督を務め、このYouTube動画は現在までに9000万回の視聴回数
を記録している。www.rogerballen.com
Asger Carlsen(アスガー・カールセン)
1973年、デンマークはフレデリックスベル生まれ。ニューヨーク在住。クラシックなモノトーン写真にデジタル加工を施すことで、優雅な一方でどこかグロテスクな作品を手掛ける。カールセンのキャリアは16歳のとき、地元新聞社に写真を売り込むことから始まった。その後、犯罪現場の写真家を経て商業写真家となる。現在カールセンはアーティストとして、FischerspoonerやCut Copy、Ratatatなどのミュージシャンのアートワークを手掛け、これまでにThe New Yorker、The Huffington Post、Wired Magazine、Dazed and Confused、Vice Magazineなど、名だたる雑誌に特集を組まれている。代表作として『Hester』『Wrong』がある。www.asgercarlsen.com