カリスマ経営者は20代に何をしていたか。「形のないものにお金をつぎ込んだ」
希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第7回
形のないものにたくさんお金を使ってきた
――小山社長が若いときに「しておいてよかったこと」はありますか。
私は1977年に、武蔵野(当時は日本サービスマーチャンダイザー株式会社)を一度飛び出して、貸おしぼり事業を手掛ける「株式会社ベリー」という会社を立ち上げました(その後、復職して武蔵野の社長に就任)。
これが29歳のときです。ですから30代は、すでに経営者だったわけです。
私は、社長になるのは早いほうがいい、と思います。
ただし、誰もが社長に向いているかというとそうではなく、向き不向きがあると思います。向いているのは、楽天的な人。例えば、恋人に別れを告げられたとき、いつまでも相手を追いかけてしまうようなタイプは社長には向かないと思います。ましてやストーカーみたいになってしまう人は絶対に無理(笑)。
社長に向いているのは、切り替えが早い人。「捨てられた。ありがとう!」「次に行っちゃえ!」と思える人でしょうね(笑)。
うまくいかないことがあっても、全部、自分の都合のいいように考えることができる、そういう資質がある人は、社長に向いていると思います。
――独身時代は、「歌舞伎町の夜の帝王」と呼ばれたこともあるそうですね。
若い頃を振り返ったとき、一番やって良かったと思えるのは、「形のないものにお金をつぎ込んだ」ことです。
賞与が支給されると、数日で、全部使い切ってしまいました(笑)。独身時代は、貯金をしようと考えたことは、一度もありません。蓄えをすると今の自分に安住してしまい、野心を持てなくなるからです。
20代のころは、歌舞伎町で飲み歩いたり、毎日のように麻雀をしたり。5人で36時間打ち続けたこともある(笑)。
「お酒やギャンブルに何のメリットがあるのか」と思われるかもしれませんが、私は、遊びも仕事も同じ頭でしています。だから、キャバクラに行くことも麻雀をすることも、無駄ではありませんでした。
私が結婚するとき、年収は2,000万円ありましたが、貯金は「ゼロ」です(笑)。
私のまわりでも、「貯金をしないで、仕事以外のことにお金を全部使っていた人」が、出世しています。若いうちは形に残らないことにめいっぱいお金を使う。それは「浪費」ではなく、「含み資産」だと思います。
それに、形のないものにお金を使っていたから、お金が全然なくて(笑)、病気になれなかった。
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