森慎二さん、8年前に望んだ二つのこと。
森慎二・西武投手コーチに教えられたこと
森慎二さんご逝去。
突然の一報に衝撃を受けた。休養が発表されて3日後。すべてのことがあまりに急に進み、現実感がない。
投手兼コーチとしてBCリーグ・石川ミリオンスターズのユニフォームを着ることになったとき、森さんに長くお話をうかがった。
インタビュー前。取材陣の勝手な思い込みがあった。
――投げたいけれど投げられないつらさ、その葛藤を抱えながら日々もがいているのではないか。
稚拙な発想だったと思う。
森さんは、西武ライオンズ時代に150キロを超える速球を武器に、抑えやセットアッパーとして活躍した。スパイクの裏側が見えるほど足を高く上げる投球フォーム。端正な顔立ちに長い髪。球場でもテレビでも、すぐに分かるのが森さんだった。
メジャー挑戦を直訴し続け、ようやく叶ったのがその4年目。タンパベイ・デビルレイズ(現在のレイズ)にポスティングで移籍をし、憧れのマウンドへの挑戦権を掴んだ。初登板となったオープン戦、3球目。森さんの野球人生のターニングポイントともいえるシーンが訪れる。
「グォパーン」
投球と同時に、ものすごい音がして右肩が外れた。脱臼、全治一年。
結局、翌2007年6月に解雇を言い渡され、1年半近く所属がない状態でメジャー復帰への道を模索、トレーニングを続ける。2009年、石川ミリオンスターズに投手兼コーチとして籍を置く。監督は西武ライオンズ出身の金森栄治氏だった。
話を聞いたのはこの就任直後だ。