話題呼ぶ松平健の“お茶目”な武田信玄、「自分の師匠」の演技を参考にしていた
大河ドラマ「おんな城主 直虎」特別インタビュー
ーー松平さんが抱く信玄像とは。
「雄々しく力強い部分と冷酷さを持ち合わせている武将。それでいて自分の支配する領民には、すごく手厚く守るという人間味もある。今までいろんな武将を演じてきて、この武田信玄は若い時からやりたいと思っていたので、今回挑戦する機会をもらって大変嬉しく思っています」
ーー演じてみてご感想は。
「やっぱり面白いですね。人間性はもちろんですが、坊主に髭というスタイルや衣装も印象的です。坊主ですけど、ヘアメイクに2時間半ぐらいかかるんですよ」
ーー江戸時代の殿様と戦国武将では芝居の気構えは変わりますか。
「もちろんです。江戸時代は天下泰平ですから、どこかノホホンとするところがある。一方、戦国時代は生死をかけた人生。やるかやられるかです。それなりの表情と緊張感を持ってやっています」
中盤を迎えた物語のなかで、メジャー級の武将の登場は、波乱を予感させる新風を吹き込んでいる。しかも、松平が表現する“少しお茶目”な信玄像は新鮮味があり、話題を呼んでいる。
ーー芝居で心がけていたことは、どんなことでしょうか。
「強いだけだと面白くないと思いました。強さを表すなかで、やんちゃというか、かわいいいところも、ちょっと表現したりして、自分なりの信玄を作っています。出番は少ないですけど(笑)、その中でも人間・武田信玄を感じられる、いろんな表情や表現を楽しんでもらえると思います」
ーー信玄を演じるにあたって、参考にした役者はいますか。
「自分の師である勝新太郎(故人)師匠ですね。台本を読んで、師匠だったら、この場面でこんな芝居をするんじゃないかって、頭に浮かんだとはありました」
ーー舞台裏で印象に残っているエピソードはありますか。
「私の芝居を見て、スタッフや演者が笑ってくれたこと(笑)。喜んでもらえたな、と」
ーーどんな芝居だったんでしょうか。
「ある武将が死んだという知らせ聞いて信玄が喜ぶシーン。その感情をダンスで表現しました(笑)。所作の先生と相談して、そこまではいいでしょうと了解もらって、阿波踊りみたいなダンスをオリジナルで。使ってもらえるかわからないですけど、全身で表現しました」
(「歴史人」2017年9月号より)