「W杯で日本サッカーの“流れ”が決まる」中村憲剛、代表で味わった独特の重圧
中村憲剛選手12月毎日更新 Q8 日本代表への思いはどのように変化していきましたか? また今、どのような思いを抱いていますか?
サッカー大国ではないからこそのプレッシャー
2006年に初めて日本代表に選ばれたときも、自分をアピールすることに必死。このチームの中で、どう生き残っていくか、どうすれば自分がこのチームにおいて有益であるかを考えていた。だから、2010年のワールドカップに出場することも、当初は全然、頭にはなかったんです。
結果的にわずかな時間でしたけど、その2010年のワールドカップのピッチに立つことができました。でも、そのとき感じたのは、サッカーはサッカーだということ。ワールドカップだからといって、ボールが3個になるわけでも、相手が15人になるわけでもない。同じピッチがあって、11人対11人で、ボールは1つですから。
ただ国と国の戦いということは強く感じました。ワールドカップの結果によって、その後その国におけるサッカーの流れが決まってくる。出場できない国は衰退していく危機に晒される。それは出場してもグループリーグで敗退すれば同様。勝ち上がることでしか、己を誇示することができないということを、ワールドカップでは強く感じました。ましてや日本はサッカーの歴史が浅く、結果に一喜一憂してしまいがち。それだけにサッカー大国とはまた異なるプレッシャーを背負いながらやっていました。
特に2010年大会はベスト16に進出し、自分たちが日本サッカーの流れを握っているということを肌で体感しました。正直、大会前は全く期待されず、空港の見送りも深夜発ということもあり100人程度しかいなかったのが、負けて帰ってきたのに、帰国したときにはものすごい多くの人が出迎えてくれましたからね。南アフリカにいるときはそこまで盛り上がっているとは思わなかったので、それはもうビックリしました。
そんな日本代表には、すいぶんと長いこと行っていませんが、未だに戻りたい場所ではあります。やっぱり、あの場所は、成長できるんですよね。
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